【新春インタビュー】ジャポニックス 土屋勇蔵代表取締役社長
〈値上げでも買い控えを起こさない、健康に役立つみその魅力をアピール〉
みそを主体とする食品卸のジャポニックスの土屋勇蔵社長にインタビューし、同社の近況と、みそ業界の見通しを聞いた。土屋社長は「値上げがあっても買い控えが起こらないよう、健康に役立つみその魅力を、業界を挙げてアピールするべき」と強調した。
――2024年度(2024年12月期)の振り返りを
売上は価格改定もあり増加した。一方経費も上がっていることから、利益は少ししんどいかもしれない。売上は、新規の取引や取り扱いが増えたことも寄与した。12月のウエイトが大きいので、最終締めを行わないとわからないが、主力のみそは比較的健闘した。
――若返りを含めて、長期的に企業継続のための組織・会社のベースをつくろうとしている
このテーマを継続し、若返りに向けた組織の見直しを行っていく。
新たな取り組みでは、会議資料の作成を自動化するシステムを導入した。それだけで営業マンの会議資料にかかる時間を大幅に短縮できた。営業であれば、お客様とのコミュニケーションや外出しての情報収集などに注力できる。営業や総務・経理の事務などで、今後も自動化を推進したい。
――外食・業務用分野での進展はありますか
みそに関して、外食・業務用分野での開拓に力を入れている。具体的な事例では、ホテルの朝食や、おにぎり店などで使ってもらうなど、少しずつ増えている。地道に積み重ねていきたい。今後、外食卸の展示会への出展なども検討している。ローカルのみそは、外食でほとんど使われていない。メニューで差別化を図る外食店を開拓したい。
〈販促提案「味噌フェス」でグロサリーにおけるローカルみその販売を強化〉
――みそベースの販促提案「味噌フェス」について
新カテゴリの総菜などで展開できたのはよかったが、グロサリーでの売りにつながりにくいのが反省点だ。グロサリーでローカルのみそをしっかり売ることを、今年は改めて強化したい。
昨年の当社展示会「彩食展」の「味噌フェス」コーナーで、「業務用味噌カツのたれ」を使ったみそカツの試食を行った。みそカツについては、提案を強化したい。
――「おみそナッツ」の販売状況は
菓子は新しいカテゴリであり、菓子問屋などと取り組みながら販売を強化したい。
――ビミタス事業の近況を
本社(大阪市西区)下の調味料や食品を取りそろえた店舗「bimitas MERCARTO(ビミタスメルカート)」(同)は、固定客がついてきており、売上を含め非常に頑張っている。昨年はみそ作りの体験教室にもチャレンジした。
ビミタス事業では、メニュー作成、動画制作、POP制作なども行える。動画制作などのノウハウは、これから当社が長期的視点で輸出に取り組む上で武器になる。
海外の人は、みそ汁の作り方を知らない。そういったことを伝える動画制作を自前で行える。当社の販促手段が増えた。
――今後の取り組みについて
新たな取組として、みそメーカーへの出資を考えている。みそメーカーの廃業や倒産をできるだけ防ぎたい。また、特約などが薄れてきた中で、事業パートナーを作っていきたいという思いもある。経営権に踏み込む出資ではない。
――みそ業界について
全体の生産量は減少している。マルサンアイのみそ事業大幅縮小だけが要因ではなく、価格が上がったことで数量が落ちた側面がある。
みそは健康に資する食品であり、数量を落としてはいけないと考えている。米は値上がりによって金額が大きく増加したが、出荷量はそれほど減っていない。出荷量が増えているものもあるようだ。米は価格が上がっても必要なものだと証明された。
みそも価格が上がっても数量を減らしてはいけない。値上げがあっても買い控えが起こらないよう、健康に役立つみその魅力を、業界を挙げてアピールするべきだと思う。
〈大豆油量日報 1月30日付〉