【2025年活動方針】米国大豆のサステナブルとSSAPのさらなる普及・拡大/USSEC

アメリカ大豆輸出協会(USSEC) 立石雅子日本副代表

〈万博米国パビリオンでイベント、細胞レベルで健康をサポートする大豆アピール〉

アメリカ大豆輸出協会(USSEC)は、2025年も米国産大豆がサステナブルであること、それを証明するSSAP認証の普及・拡大に取り組んでいく。6月には大阪・関西万博の米国パビリオンに出展を予定する。「サステナビリティシンポジウム」は今回、大豆食品にとどまらず、飼料にも触れる内容を予定している。

実は、飼料のパッケージや大豆を飼料とした食肉加工品にもSSAP認証マークを付けることが可能で、すでに南米では例もあるという。SSAP認証マークを付けた商品を対象に、米農務省のRAPPプログラム(農業地域活性プログラム)を利用した輸出支援もスタートする。

「細胞レベルで健康をサポートする大豆の健康効果をアピールしたい」と語る立石雅子日本副代表に2024年の取り組みの振り返りと、2025年の活動方針について話を聞いた。

――2024年を振り返って

世界の大豆生産量が4億2,714万tとなり、消費量4億364万tとともに前年から増加の見込みとなった。バイオ燃料と大豆油の需要も世界的に高まっている。米国大豆は、2024年は生育初期に降雨が多かったのが特徴だった。その後一部地域で干ばつが起き、最終的に大豆の単収と品質に影響を及ぼしたものの、生産量は1億2,142万tと過去最高水準となった。気候変動の影響もある中で、安定的に増加し続けている。ただ、トランプ大統領の就任により、バイオ燃料の政策や米中関係の変化が大豆貿易に影響を及ぼす不確定要素がある。

USSECの活動としては、米国大使館の要望を受け、「FOODEX JAPAN」に初出展した。USSECでは大豆の需要を上げつつ、米国大豆がサステナブルであることを伝えることを目指した。納豆をテーマにし、世界進出するキックオフにもなった。「第28回全国納豆鑑評会」では「米国大豆サステナビリティアンバサダー賞」をカジノヤに授与した。

USSEC日本事務所が米国大豆に関連する目立った功績を残したメーカーに毎年授与している「感謝賞」だが、23年度はセブン&アイホールディングス(HD)とアサヒコを表彰した。それぞれ革新的な大豆製品にSSAP認証マークを付けてもらった。

特にセブン&アイHDからSSAPを正式に承認してもらい、同社のサステナビリティ調達のホームページにSSAP認証関連情報やマーク付き製品が掲載された。11月の秋の環境月間には、サステナビリティを推進する認証団体とセブン&アイグループ商品の需要拡大という取り組みが、SSAPに取り組んでいただいている団体やメーカーとパートナーシップを組み、一緒に発信したいというUSSECの目的と合致したことから、共同でイベントを実施した。消費者と直接触れ合う機会はあまりないため、とても有意義だった。

――SSAP認証の現状について

日本が輸入する2023年米国産の食用大豆の約220万tの93%にSSAP認証が発行されている。USSECのSSAPシステムに登録・申請しているサプライヤーが発行することになるが、米国大豆の輸出全体では7割ほどなので、日本の比率はかなり高い。メーカーがSSAPマークを製品や企画書、マーケティングツールなどに使用したい場合、USSEC日本事務所に申請することになる。申請済みの企業数は現在18社となっている。

USSECは昨年、サンフランシスコで大豆の世界大会「ソイコネクスト」を開催し、世界各国の約90社を表彰したが、日本の18社は1カ国として最も多かった。そのうち太子食品工業、三好食品工業、KAPI(KG Agri Products, Inc.)が現地の表彰式に参加した。

日本は食品の品質も消費者の要求も高いため、企業の開発を含め、日本の消費者の動向は世界から注目されている。2025年もSSAP認証マークの付与を検討している大豆加工品メーカーが数社ある。

――2025年の取り組みについて

今年も「FOODEX JAPAN」に出展し、USSECとしてのブース展示を行う。SSAP認証と納豆や豆腐を世界に向けて発信する。世界中から来場者が訪れるので、米国パビリオンから世界に向けて日本の納豆と豆腐を周知させ、原料に米国のサステナブルな大豆が使われていることを伝えたい。

4月には「サステナビリティシンポジウム」を開催する。今年も米国大豆とサステナビリティをテーマにするが、大豆食品にとどまらず、飼料にも触れる内容を考えている。飼料に使われている大豆ミールもサステナブルであり、その見える化を目標に発信していく。飼料のパッケージにもSSAP認証マークを付けることが可能で、南米ではSSAP認証の大豆ミールを使った飼料で育ったシーフード製品や飼料製品自体にSSAP認証マークが付けられている。

大豆アニメ「ソイストーリー」の最新話EP.8では、大豆ミールを飼料にしている鶏や豚などの動物が登場するバージョンも作成した。5月には「ソイオイルマイスター検定」を実施し、昨年の好成績者を含む関係者の米国研修の実施を予定する。

6月以降、全国に100校以上あるABCクッキングスタジオとコラボレーションし、1カ月間にわたって、大豆のSSAP認証マーク取得製品を使用した料理を作るワンデイレッスンを計画している。6月中旬には、米国大使館の要望で大阪・関西万博の米国パビリオンでイベントを開催する。約3,000万人のインバウンドが訪れることが見込まれており、世界にアピールできる機会なので、サステナビリティと大豆製品のアピールを行う。

大阪・関西万博は、「いのち輝く未来社会のデザイン」を実現するため、8つの「いのち」をテーマにしている。消費者の意識も変化し、健康や環境にやさしい商品を選択しようとする意識は高まっているので、大豆は特に健康寿命を延ばす栄養素と捉えられ、腸内環境が改善するなど、細胞レベルで健康をサポートする。そういった健康効果をアピールしたい。大豆は何となく健康にいいという意識はあるが、再定義した上で「FOODEX JAPAN」や万博で発信できればと思う。

時期は決まってないが、米農務省のRAPPプログラム(農業地域活性プログラム)を利用した輸出支援を行っていく。これから日本の人口は減少していくので、経済成長を考えると、日本の多様で優れた大豆製品を海外市場に展開することが重要になる。米農務省や関係省庁と連携し、中小企業を含む幅広いメーカーのSSAP認証マークを付けた商品の輸出支援を行うサポート体制を準備しており、日本の農水省と対話もしている。

「みどりの食料システム戦略」の中で、「日本における食材のサステナブル調達を推進する目標」という同じ目的を共有できればと思っている。SSAP認証マークと米国大豆農家のサステナブルな生産方法の推進と需要増を目標にしていく。プラグラムが終了する29年度以降も継続することを考えている。

夏には「日米パートナーシップ」を米国で開催する。8月の「ソイコネクスト」は、ワシントンDCで開催し、食品大豆と一般大豆のチームを派遣する予定だ。また、大豆アニメ「ソイストーリー」はEP.8まで制作したが、少し発展させることを考えている。

――高オレイン酸大豆油がコーデックス規格に

米国本部が力を入れて取り組んでいた。生産者は成果として喜んでいる。高オレイン酸大豆は12年頃に開発された。18年のUSSECのアウトルックでアメリカはいずれ8割を高オレイン酸大豆にすると発表していた。代替エネルギー需要が高まってきたことで、一時期より勢いは弱まっているものの、開発は続けており、日本でも需要はある。

ただ、高オレイン酸大豆にはNon-GMOとGMOがあり、作付けの2年前から農家とメーカーが契約を結び、IPハンドリングが必要という煩雑さもある。欧州の2年連続不作でオリーブ油が高騰したが、特に健康という部分では、価格が高くても需要がある。高オレイン酸大豆は85%がオレイン酸なので、オリーブ油の代わりになるような健康的な油だ。米国では高オレイン酸大豆油と一般大豆油とのブレンド油や、オリーブ油とのブレンドがあるので、そういった需要が日本でも今後出てきてもいいと思う。

「ソイオイルマイスター」の米国研修で例年と異なるのは、1日目に高オレイン酸大豆の調達セミナーを行うことだ。高オレイン酸大豆の搾油後のミールを飼料にすると、牛乳の質を高めるといわれている。高オレイン酸大豆のミールと油の価値について引き続き発信していきたい。「ソイオイルマイスター」の研修とは別に、メーカーや輸入業者、サプライヤーとのマッチングミーティングも米国内で実施する予定だ。

日本向けの輸出では93%がSSAP認証を取得しており、その重要性が増している。USSECは食用大豆だけでなく、飼料や加工品にも焦点を当て、大豆の健康効果を多角的にアピールすることで、消費者の意識を高めていく方針だ。

〈大豆油量日報 2月5日付〉

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昭和33年(1958年)1月
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