「綾鷹」、過去最高販売数量を達成、650ml戦略と新コミュニケーションで拡大狙う/コカ・コーラシステム

3月3日発売の「綾鷹 黒豆ほうじ茶」と「綾鷹 茶葉のあまみ」の650mlサイズ
3月3日発売の「綾鷹 黒豆ほうじ茶」と「綾鷹 茶葉のあまみ」の650mlサイズ

コカ・コーラシステムの緑茶ブランド「綾鷹」は、2024年にブランド史上最高の売上数量を記録した(同社調べ)。コカ・コーラシステムは、緑茶飲料市場でシェアを拡大した勢いを加速させるため、3月3日から「ヒトクチ、ヒトイキ。自分のリズムでいこう。」をブランドメッセージとする新キャンペーンを展開する。

新CMには、昨年に続きブランドアンバサダーの宇多田ヒカルさんを起用し、同日から放映している。好調だった「綾鷹」の緑茶本体はリニューアルしないが、新フレーバー「綾鷹 黒豆ほうじ茶」の発売や、リニューアルした「綾鷹 茶葉のあまみ」、さらに「綾鷹カフェ 濃い抹茶ラテ」など派生製品を積極導入し、さらなる成長を目指す考えだ。

リニューアルで2024年は過去最高の販売数量になった「綾鷹」
リニューアルで2024年は過去最高の販売数量になった「綾鷹」

日本コカ・コーラによると、2024年の1年間で「綾鷹」はブランド史上最高の販売数量を記録したという。具体的な数値は公表されていないが、2024年4月に行った7年ぶりの大型リニューアルが若年層を中心に幅広い世代に支持され、成長を後押ししたもようだ。

「綾鷹」は昨年リニューアルした緑茶本体を525mlから650mlのサイズに変更して好調な販売になったことから、その流れを受けて今年は新製品やリニューアル品を650mlサイズで展開する。

競合ブランドの主力品は、「お~いお茶」(伊藤園)、「伊右衛門」(サントリー食品)、「生茶」(キリンビバレッジ)が600ml、「アサヒ 颯」(アサヒ飲料)が620mlのため、「綾鷹」は、ひと回り大きい設計となっている。飲料業界はコスト増に対応するため価格改定に取り組んでいることなどもあり、容量増加になかなか踏み切れないのが実情だ。

〈担当者が語る新製品・リニューアル品を650mlサイズで展開する理由〉

新製品「綾鷹 黒豆ほうじ茶」(650mlPET/2LPET他、3月3日発売)は、上林春松本店が厳選したほうじ茶に黒豆をブレンドし、香ばしさと自然な甘みを楽しめる一品。同製品はホット専用だったが、好評を得て通年発売に踏み切った。すっきりとした飲み心地で、650mlサイズで提供される。

「綾鷹 茶葉のあまみ」(650mlPET/2LPET他)も茶葉と抽出方法を見直し、よりすっきりとした味わいへとリニューアル。国産茶葉を100%使用し、低温抽出によりうまみと甘みを引き立てたという。

これら製品は650mlサイズであり、競合他社の茶系飲料より容量が多い。この点について、日本コカ・コーラ社マーケティング本部の助川公太部長は次のように語る。「2024年の“綾鷹”本体のリニューアルにあたり、止渇ニーズなどを踏まえて適切なサイズとして650mlを提案しました。引き続き検討する中で、幅広い世代で止渇ニーズがみてとれたため、他製品も同じサイズでの展開を決定しました」。

さらに、「温暖化を伴う止渇ニーズの高まりや、緑茶を1日かけて様々なシーンで飲み続けたいというニーズ(ちびだら飲み)などから、一昔前に比べると一本でたくさん量を取れたら嬉しいという消費者は増えています。そのニーズと持ち歩きやすい容量のバランスを踏まえて650mlを提案しました」としている。

〈抹茶量50%アップ、綾鷹史上最も濃い「綾鷹カフェ 濃い抹茶ラテ」〉

3月31日発売の「綾鷹カフェ 濃い抹茶ラテ」
3月31日発売の「綾鷹カフェ 濃い抹茶ラテ」

また、「綾鷹カフェ」シリーズからは、「濃い抹茶ラテ」(440mlPET)が3月31日に登場する。従来の「綾鷹カフェ 抹茶ラテ」よりも50%抹茶量を増量し、綾鷹史上最も濃い抹茶量となっている。国産宇治抹茶100%を使用し、奥深い味わいに仕上げたとし、同社は本格的な抹茶の風味を楽しめる一杯としている。

〈新CMは宇多田ヒカルさん出演の「ヒトクチ、ヒトイキ。」シリーズ〉

ブランドアンバサダーは2年連続で宇多田ヒカルさんを起用
ブランドアンバサダーは2年連続で宇多田ヒカルさんを起用

3月3日から放映開始した新CM「ヒトクチ、ヒトイキ。“仕事”」篇では、宇多田ヒカルさんが音楽制作の合間に「綾鷹」を飲み、リラックスする様子が描かれている。CMには宇多田さんの新曲「Mine or Yours」が起用され、綾鷹の持つ「本格的なうまみと軽やかな後味」を表現しているという。

さらに、宇多田さんがヨーロッパの街を旅するスペシャルムービーも、コカ・コーラ公式YouTubeチャンネルで公開された。

宇多田さんを起用した2024年は、ドラマなどの影響もあり、中高年だけでなく、若年層から出演するCMが支持されたという。継続起用により、宇多田さんを通していっそう「綾鷹」の世界観を伝える考えだ。

〈「綾鷹」春の戦略〉

コカ・コーラシステムは、「綾鷹カフェ」シリーズも含めて異なる嗜好に対応した派生製品の展開を進め、今後もRTD(Ready To Drink)緑茶市場での成長を加速させる方針だ。

3月3日から始まる春のキャンペーンでは、対象製品を4本購入すると「BEAMS DESIGN」プロデュースのオリジナル保冷ペットボトルホルダーがもらえる店頭施策や、公式アプリ「Coke ON」でのWスタンプキャンペーンが実施される。

2024年の清涼飲料市場で、最も激しい競争の舞台となった緑茶飲料カテゴリーの“勝ち組”となった「綾鷹」。さらなる成長に向けては、「綾鷹」ブランドのコミュニケーション強化と、650mlサイズを中心とした派生製品の展開に注力する考えだ。

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創刊:
昭和26年(1951年)3月1日
発行:
昭和26年(1951年)3月1日
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