大豆加工品の輸出切り口、小杉食品「ハラール おちびさん納豆」を東南アジアや中東に

日本の人口が減少していく中、大豆加工品の需要を拡大させるためには輸出も有効な一手だ。今回、ハラール向きなどといった切り口で、大豆加工品を提案するメーカーを紹介する。
小杉食品(三重県桑名市)は3月に新商品「国産しそのりカップ納豆」を発売するとともに、輸出向きの商品「ハラール おちびさん納豆」、「北海道有機小粒納豆」、「とろ~りきざみ昆布たれ 国産小粒納豆」をアピールしている。
このうち「ハラール おちびさん納豆」は、豚やアルコールを口にできないムスリムに向けて、それらを除いたたれを添付した。ハラール認証を受けたたれメーカーのものを使用している。
同商品は、東南アジアや中東で引き合いがあるという。ハラール認証のマークをパッケージデザインに記載しており、国によってはマークがないと輸出できないところもあるため、その点も評価されている。
海外では環境意識が高いことから、「北海道有機小粒納豆」の拡販にも注力していく。
新商品の「国産しそのりカップ納豆」は、以前販売していた商品を復活させた。味は当時の商品を再現しながら、原料大豆は輸入から国産に変更した。また、しそのりとたれで2つ添付していたが、添付品を1つにまとめた。他社との差別化を図るために、カップとした。
「カップにすることで購入層は変わると思う。トレー(発泡スチロールの納豆容器)と比べ内容量が約10g減るので、年配の人や子どもにとって食べやすい」(同社)。
◆川口納豆、ムスリムフレンドリーの「乾燥納豆」、犬用にも提案

川口納豆(宮城県栗原市)は家庭用と業務用(10kgバルク)で「乾燥納豆」を発売しており、ムスリムフレンドリー商品としてもアピールしている。原料はハラールに対応しているものを使用し、アルコールや動物性原料は不使用だ。
同商品は、宮城県産大粒納豆をフリーズドライ加工した。ひきわり納豆タイプの「乾燥納豆(ひきわり)」(65g、180g)、大粒納豆タイプの「乾燥納豆(粒)」(65g、130g)、粉末状にした「粉末納豆」(75g、220g)をそろえた。粉末タイプは、離乳食や介護食のほか、料理用途に向いており、トーストやピザ、グラタンなどでの使用をオススメしている。チーズとの相性が良いという。
また、口内に入れてから粘ることにより口が汚れにくいこと、さらに味つけしていないことから、犬用にも提案している。「犬と同じものを食べたいという声に応えられる」(同社)。
業務用では、ふりかけや煎餅に使用されている。家庭用では、土産店や宮城県内のスーパーマーケットで購入されることが多く、原材料が国産大豆である点が評価されているようだ。
◆宮守川上上流生組、どぶろくに合う「燻製とうふ」、海外はヘルシーなおつまみとして

宮守川上上流生産組合(岩手県遠野市)では、遠野市宮守町で獲れた農産物で加工品を作っている。このうち「燻製とうふ」は、宮守町の米で作った「遠野どぶろく」に合うおつまみとして開発した。味も濃いめにしている。岩手で親しまれている固さが特徴の岩豆腐を使って燻製にしており、チーズに似た食感となっている。東京のアンテナショップや、岩手では道の駅、スーパーマーケットなどで販売している。
開発で苦労した点について、味の濃度の調整を挙げる。「日によって豆腐の水分量が変わる。同じように完成させるための調整が常に必要だ」(組合)と話す。
海外展開については、「日本酒ブームが来ているので、ヘルシーなおつまみとして販売したい」と意気込む。すでにイベントで販売した実績もあるという。
【大豆油糧日報 4月9日付】