Greenspoon、おかずや主食類が貢献し販売増、ファミリーマートでの販売も好調

◆リアルな場での提案を強化
宅食サービスを手掛けるGreenspoon(グリーンスプーン、東京都渋谷区。サービス名は『GREEN SPOON』)。会員数・販売食数ともに伸長し続けているという。新たに投入したおかず類やパスタなどの主食となる商品が貢献した。今後も新商品の投入などは継続しつつ、食体験を豊かにするための新たなコラボ企画も検討しているという。常務取締役の黒﨑廉COOに現状や今後の方針などを聞いた。

――冷凍食品市場をどう見ているか。
価格高騰が続く中、数量的には前年並みで推移していると聞いており、今後も市場は拡大を続けるだろうと感じる。コロナ禍から冷凍食品の支持は確実に広がった。ECで食品を購入する人も以前より増え、当社も市場の追い風に乗ることができたと思う。
宅配食で冷凍弁当のプレートなどは需要が高まっているため、食のサービス化に取り組む企業は増えている。買い物に行かずとも簡単にちゃんとした食事を摂れることは便利で、徐々に受け入れられ始めていると感じる。仕事などで調理に時間を割けない人も増えており、そうした方々からの活用も広がりつつある。
――ここ2年ほどで、企業の規模を問わず新規参入も増えている。
大変な市場ではあるものの、多くの企業が狙っている市場なのだと最近では感じている。冷凍弁当は、当社だけでなくナッシュさんやイングリウッド(『三ツ星ファーム』運営)さんも早い時期から参入していて、色々な改善を進めながら取り組んできた。コロナ禍中より伸びは落ち着いたものの、今も市場は拡大を続けており、負けないよう取り組めればと思う。
――「グリーンスプーン」の販売状況は。
コロナ禍に大きく伸び、明けてからも継続して伸長している。会員も引き続き増えていて、それに伴って販売食数も伸びている。メニュー数も、最初は25種類ほどだったが、今は200種類ほどに増えていて、商品の追加が成長の重要なカギだったと思う。
特に大きく伸長したのは、2024年にメインディッシュとなるメニューを投入した時だ。元々はスープやスムージーなどを展開してきたが、食事としては少し物足りず、ちょっとヘルシーなものを食べたい、食べ応えのあるものも食べたいという意見があり、ハンバーグやから揚げ、ガパオといったメニューを発売した。すると、食事としても利用していただけるようになり、現在の売上の半分ほどを占めるぐらいの売上になった。
我々の特徴として、スープやスムージー、サラダと一緒におかずやメインディッシュも購入できること。利用される方それぞれのライフスタイルに合わせて好きな量を好きな形で購入できる。今日はしっかり食べたい、夕飯は抑えたいからスープを買っておこうという方もいる。生活に合わせた様々な活用方法を「グリーンスプーン」の中でできることは良いところだと思っていて、おかず以外も利用していただけているのは独自の面白さだと感じている。
我々のような定期サービスは飽きられてしまうことが最大の敵なので、引き続き商品の追加は継続していく。
――好調な商品は。
ハンバーグはやはり人気で、常に上位に入るイメージ。ECで買い物をする際、多くの方は失敗したくないという思いがあるのか、ある程度味の予想がつくハンバーグを購入される方は多い。他の人気商品も王道のメニューの方が多い。パスタなども主食商品も良く売れている。
「グリーンスプーン」らしさ特徴を発揮した商品としては、具材感のある野菜が入っていること。ロマネスコのように普段あまり使わない食材を、スパイスの組みあわせで複雑な味に仕上げたものや、野菜をふんだんに使った美味しそうに感じられるメニューの人気も高い。野菜の美味しさや食感に驚いてくださる方も多いので、ここはしっかりと強めたい。
おかずや主食になる商品も選ばれるジャンルであるのは間違いないので、今後も商品の追加など進めていく。
◆グリコグループに参画 今後も様々な取り組みを企画
――2024年に力を入れた取り組みは。
おかずや主食となる商品を強化したほか、新商品の投入にも力を注いだ年だった。グリコグループとのコラボ商品として、適正糖質な生活をサポートするブランド「SUNAO(スナオ)」のパスタを使った商品を投入し、販売は順調に推移した。
商品以外ではファミリーマート様でチルドのスムージーを初めて発売したほか、初の試食イベントなども実施している。これまではオンライン上でのアプローチが中心だったが、リアルな場で提案することで、ブランドの認知をより広げられたと感じている。
広がりを特に実感したのは、ファミリーマート様での販売だ。想定以上の販売を記録している。また、私の友人も「グリーンスプーン」のことは知っていて、私が携わっていることも知っていたのだが、手に取っていない人も多かった。しかし、コンビニで発売したとたん、とんでもない数の連絡が来たので、手に取りやすい場で提案することの大切さを非常に感じたできごとだった。
ECで食品を買うことは、やはりまだメインの買い方ではない。食品のEC化率はまだ一桁台と非常に低いため、接点をオンラインだけに絞ることは戦略として良くないため、オフラインに出ていくことの大切さは非常に感じている。また、試食イベントを行った際、試食にすごい列ができていて、食べていただく、気軽に手に取っていただく機会を作ることの重要性を、食を提供する会社としては考えていかなければと感じた年だった。オフラインでの接点づくりは今後も意識して取り組みたい。
――グリコグループに入り、変化はあったか。
実はあまり変わっていない。グリコ様も「グリーンスプーン」ならではの成長を応援してくださっているという部分が強く、良い意味で変わっていない。
ただ、グリコ様の人気ブランドとのコラボ商品を投入させていただいたほか、我々にはない販路や原材料仕入れの知見などを気軽に相談できることなどは非常に心強い。今後は力をお借りしながら、グループ内にいるからこそできることなどを考えていければと思う
――EC以外の販路は。
今は一部のスーパーなどで取り扱いがある。今後はオフラインで「グリーンスプーン」がどう存在できるか、考えていかなければと思う。
――今後の取り組みは。
先ほど話したように、今後はよりオフラインに出ていくことは冠揚げていかなければと思う。オンラインで食を届けることにこだわっているわけではないので、より気軽に手に取ってもらえる場面を考え、挑戦していかなければと思う。
――今年もリアルイベントは検討しているのか。
企画自体はしている。実現するかまだ分からないが、多くの方に食べていただき、「グリーンスプーン」に触れていただけたらと思っている。
現状では、今年もファミリーマート様での販売が4月からスタートしている。昨年よりも具材感をより高めており、多くの方にぜひ試してほしい。
――現在検討しているものは。
ブランドコラボなどはは引き続き企画している。また、今までやってこなかったコラボも企画はしている。今年の秋冬には色々出てくるのではと思う。
我々が向かっていく方向としては飽きさせないことで、そのために美味しい商品を作りたいと常に考えている。味が美味しいことはもちろん、美味しい体験も提供できればと思っている。シェフから料理の説明をしていただくと、同じメニューでもより美味しく感じられるのでは。ただ食事を摂るだけではない、ちょっとした楽しい食事体験を何らかの形で提供できれば。
〈冷食日報 4月17日付〉