「適正な価格形成に関する協議会」の第4回豆腐・納豆作業部会を実施-農水省

◆豆腐・納豆のコスト指標イメージを作成、価格交渉しやすくなる仕組みづくり
農林水産省は4月16日、「適正な価格形成に関する協議会」の第4回目となる豆腐・納豆作業部会を実施した。豆腐と納豆の生産・製造・流通などに要する費用や取引価格の調査結果をもとに、コスト指標のイメージを作成し、構成員に共有した。
コスト指標は価格交渉の際に活用でき、自社のコスト内訳を開示せずとも交渉しやすくなるという利点がある。また、コスト指標を作成する場合、どのような課題や留意点があるかを議論した。
農水省では3月7日に、「食品等の流通の合理化及び取引の適正化に関する法律」と「卸売市場法」の一部を改正する法案を国会に提出した。「食品等の取引の適正化」の項目が大幅に新設され、豆腐や納豆などといった指定飲食料品について、費用の指標を作成・公表し、消費者への情報提供を行う団体を認定することを新たに措置した。今回の取り組みは、この改正案の施行を見越したものとなる。
併せて、取引に関して努力義務を新たに措置した。原材料価格や人件費など各種コストの値上げを理由とした交渉の申し出があった場合は誠実に応じること、持続的な供給に資する取り組みの提案があった場合は検討や協力をすること、という内容となっている。農林水産大臣が、努力義務に対応した「行動規範」(判断基準)を省令で明確化する。取り組みが不十分な場合は、指導や勧告を実施する。
豆腐と納豆のコスト指標の作成にあたり、コスト調査を実施した(後掲資料参照)。生産・製造・流通などに要する費用や取引価格を調査したもので、食料システム全体でのコスト構造を明確化することが目的だ。食料システムの各段階の事業者に対して、アンケート調査や聞き取り調査などを実施した。特定の流通ルートを対象とするモデルケースの調査となっており、統計調査ではない。
豆腐の調査対象は、製造5社、卸売4社、小売5社。納豆の調査対象は、製造3社、卸売4社、小売5社。卸売以降では、対象品目に特化してコストを算出できないため、品目共通のコストを算出した。食品卸を経由して、都内のスーパーで販売される豆腐・納豆を対象に、取引価格とコストを事例的に調査した。今後、調査対象企業は増やしていくとしている。
調査の結果、1丁300gの豆腐の場合、加工製造が63.7円(69%)、卸売3.7円(4%)、小売24.9円(27%)、計94.4円のコストが掛かっていることが分かった。マージンは加工製造が5.9円、卸売が1.1円、小売は1.9円で、小売価格は103.4円となった。
40g×3個の納豆の場合、同92.6円(71%)、同5.0円(4%)、同32.6円(25%)、計130.2円のコストが掛かっていることが分かった。マージンは同1.2円、同1.5円、同2.5円で、小売価格は135.4円となった。
令和5年度の調査結果のため、関連統計の変動率で補正することで、直近のコストの変動を反映させるという。
構成員からは、メーカー側は「価格交渉しづらい中、こうした仕組みはありがたい」との声が上がった。一方、小売側は「仕組みについては賛成だが、消費者にとって値ごろ感が重要となる。消費者の理解をどのように得ていけば良いのか」といった意見も挙がった。
(大豆油糧日報 4月18日付)