小型カメラ搭載「みまもり自販機」で街の死角をなくす キリンと西新井警察署がタッグ
飲料メーカーでは初となる商品サンプルに内蔵可能な小型カメラの開発により、人の目線の高さでの映像取得が可能となるとともに、従来よりも広角なレンズで鮮明な画像のため、映像確認がしやすくなっているという。
同署の福山隆夫署長は、「千葉県松戸市内、または新潟県新潟市内で、通学中の女子児童が連れ去られて被害に遭うという大変痛ましい事件が発生している。当署においても、街の安全・安心、とりわけ通学路、あるいは女性や子どもが集う公園を守ることが最重要課題だと考えている。そこで、警察官によるパトロール強化とともに、防犯カメラの設置促進を各方面にお願いする中で、KBV社に賛同していただき、今回の締結に至った。当署はKBV社と協働し、この自販機の設置を増やして街の死角をなくしていく」とした。
「みまもり自販機」イメージ(キリンビバレッジバリューベンダー)
今回導入される「みまもり自販機」は、従来の防犯カメラのほとんどが自販機の上の高い位置からの撮影であるのに対し、自販機内蔵型のカメラを採用しているため威圧感がないことが特徴。120°の広角で撮影でき、映像のレベルも高いため、事件・事故が発生した時の捜査活動に有効だという。設置に際し、警察署の費用負担は発生しない。
映像データは、Wi-Fiで飛ばすのではなくマイクロSDカードに保存し、厳格なセキュリティで管理される。閲覧できるのは西新井警察署のサイバー対策用のパソコンのみで、KBV社も含め第三者は見ることができない。万一、SDカードが奪われても、通常のPCなどにつなぐとデータが壊れる形式となっており、二重にロックをかけている。
KBV社・新井執行役員(左)、西新井警察署・福山署長(右)
日本の飲料自販機は飽和状態であると言われており、昨年の飲料自販機の普及台数は前年比98.8%の244万3800台だった。少子化の進む日本では、消費量が落ちてくることも想定され、自販機の発展には“なくてはならない”存在になることが重要になる。今回のような地域防犯に貢献するタイプは人の集まる立地に設置できる可能性が高く、販売数量の増加など経済活動への反映も期待できるという。
KBV社執行役員の新井裕明統括本部長は、「自販機を取り巻く環境は厳しいが、お客様との接点の持ち方により優位性が持てると考えている。“みまもり自販機”が(成長の)武器になるというよりも、我々キリングループがCSV(顧客や社会と共有できる価値の創造)に取り組み、社会とどのように共生していくかというスタイルを、皆様に認知してもらえるチャンスだと捉えている」とした。
犯罪抑止イベントでは啓発POPを付けた飲料を配布
なお、犯罪抑止への協力に向けて、同社は西新井警察署の犯罪抑止イベントで配布する飲料用に、啓発POPを作成。さらに、「みまもり自販機」には“ピーポくん”のトップボードを採用するとしている。
〈酒類飲料日報 2018年7月4日付より〉
【関連記事】
・炭酸飲料 “習慣化とサプライズ”で市場拡大、過去最高の生産量見通し
・10年で7倍超 急成長する炭酸水市場 日本コカ・コーラも本格参入
・プレミアムビール 20~30代中心に飲用拡大 各社新商品を展開、海外大手も注目
・新“麦茶”と“麦のカフェCEBADA”発売、「新たな飲み物文化を切り拓く」/キリンビバレッジ
・90周年の「キリンレモン」、守ってきたのは“品質本位” 聖獣マーク冠して刷新
・“凍らせて吸う”お酒「氷結アイススムージー」、5年目の夏季限定発売/キリンビール