飲料自販機で宅配弁当、“ランチ難民”を救う/サントリー×ぐるなび「宅弁」

飲料自動販売機は国内に約240万台あるが、スーパーやコンビニエンスストアなどとの業態間競争が激化し、総市場は微減が続いている。自販機がこれからも人々から必要とされるためには付加価値を提供する必要があり、メーカー各社は取り組みを進めている。

〈できたて弁当を職場に宅配〉
サントリービバレッジソリューションは5日、ぐるなびと共同で自販機の法人向け新サービス「宅弁(たくべん)」を、東京都の中央区、港区、千代田区、品川区で7月から開始し、順次エリアを拡大すると発表した。

職場に設置された「宅弁」仕様の自販機で、飲料を購入するのと同様に代金を投入してボタンを押すと、ぐるなびが曜日ごとにコーディネートした職場近隣のレストランが作る弁当を注文でき、職場に宅配されるサービス。

当日朝8～10時に注文を受け付けた後、レストランが調理を行い、作りたての弁当を昼12時までに届ける。昼休みに混雑するレストランやコンビニエンスストアの行列に悩むことなく、時間を有効活用しながら昼食を摂ることが可能になるという。

サントリービバレッジソリューション・土田社長（左）、ぐるなび・久保社長（右）

サントリービバレッジソリューションの土田雅人社長は、「世の中の社会課題の解決に向け、快適な職場づくりをサポートしたいという思いで開発した。当社の考えに共感いただいたぐるなび社、そして街のレストランと協力して始める、自販機業界で世界初の新しいサービスだ。展開台数は2020年までに1000台規模を目標にしているが、もっと早くに達成したい」と語った。

ぐるなびの久保征一郎社長は、「宅弁は、一般のデリバリーでネックとなっていた配達要員の確保や配達コストなどがほとんど発生しない。飲食店からみると、配達先が近隣の企業であること、配達時間や配達場所が決まっていること、また決済不要で集金作業がいらないため、現有のスタッフで十分回していける。また、利用者が弁当をきっかけに店舗に来店することも期待できるなど、メリットがたくさんある」と話した。

弁当は曜日ごとに異なるレストランの日替わりメニューを用意する。価格は700円(税込)でスタートするが、エリアによって設定を変えることもできるという。なお、弁当を購入すると釣り銭口から購買証明のコインが出てきて注文完了になり、このコインを使用すると自販機の飲料が10円引で購入できる。

働き方改革が推進される中、「少しでも時間を有効に使いたい」というニーズが高まる一方で、職場の周辺に飲食店が少なかったり、混雑しているため、“ランチ難民”などの言葉に象徴されるように、職場での昼食に関連する課題は顕在化していた。「宅弁」は現代ならではの社会問題を解決する自販機サービスといえそうだ。

ダイドーの「レンタルアンブレラ」

〈自販機に貸し傘を設置/ダイドードリンコ「レンタルアンブレラ」〉
ダイドードリンコは、自販機を活用した地域社会貢献活動として、急な雨などの際に傘を無償で貸し出す「レンタルアンブレラ」の活動を、15年10月から大阪市内限定でスタートし、現在では計16都道府県にある自販機のうち最大500台で展開している。

ロケーションは、同じ場所に来るかわからない観光地や繁華街などは避け、地元密着の商店街や通勤、通学で同じ道を通るエリアを優先して設置し、返却しやすいようにしているという。目標台数は立てていないが、「望まれるエリアから声をもらえれば、必要に応じて拡大していく」(同社)としている。