“飲める氷”「ポカリスエット アイススラリー」 消防など過酷な環境の熱中症対策にも
暑熱環境下での活動をサポートするため、深部体温(人間の内臓の温度)に着目した”身体を芯から冷やす”新しいポカリスエット。アイススラリーは、液体に細かい氷の粒が混じった流動性のある飲料のことで、通常の氷に比べ結晶が小さく、冷却効果が高いと言われる。同商品は、冷凍庫で4時間以上冷やして利用する。常温保存が可能で、溶けた後に再び冷凍してもスラリー状になるため、日常の幅広いシーンで利用しやすい。
同社製品部でポカリエットを担当する浅見慎一氏は、「ポカリスエットは、発汗や脱水によって失われた水分と電解質を補給する健康ドリンクとして1980年に誕生した。熱中症対策には約30年前から取り組んでおり、現在では、他社も含めて対策商品がたくさん出ているが熱中症の救急搬送者数の大きな減少には至っていない。そこで、熱中症の根本的な要因である身体の熱への直接的アプローチに取り組んだ。
発汗による冷却だけではなく、直接熱を下げることを目指し、“アイススラリー”の開発を進めた。ポカリスエットの電解質バランスに加え、凍らせてスラリー状にすることで深部の冷却効果がプラスされた究極の機能を持つ製品だと考えている。われわれは、本気で熱中症をゼロにしたいと考えており、まずは過酷な暑熱環境の中で活動をせざるを得ない方々へのサポートから始めたい」とした。
「熱中症対策への新たな期待」(大塚製薬)
同社は、産業医科大学の産業保健管理学研究室の堀江正知教授と北九州市消防局と共同研究し、熱中症予防をテーマに、消防活動前後にアイススラリー状のもので内側から冷却することの効果の実証実験を昨年行った。
消防活動は、防火衣を着た状態での活動のため、熱中症の危険が高い。防火衣内は、湿度が90%以上で汗がたまった状態になるため、発汗による放熱ができず体温が下げられない。過酷な暑熱環境下では、水分補給だけでなく、深部体温の上昇を抑えることが必要になる。そこで、「カラダの内側から冷やして熱から守る」という新たな観点に着目。実証実験では、この有用性も確認できたという。
同社通販サイトで一般販売を行うが、今年は、特に消防士など暑熱環境下で活動する人に向けた新たな熱中症対策飲料として展開する。自衛官、警察官、作業員、スーツアクターの人たちにも重宝されそうだ。同社は、発汗や脱水における社会課題へ取り組み、生活者の健康をサポートする考え。
〈食品産業新聞 2018年7月16日付より〉