世界初の缶コーヒー「UCC ミルクコーヒー」がギネス世界記録に認定
UCC上島珈琲の缶コーヒー「UCC ミルクコーヒー」が、販売期間49年で缶コーヒーのロングセラー製品としてギネス世界記録に認定され、7月4日にギネス世界記録認定授与式が行われた。同製品は、コーヒーの新たな飲用文化を創造し、現在、約3億5000万箱規模といわれる缶コーヒー市場の礎を築いた。
1969年に発売された世界初の缶コーヒー「UCCコーヒーミルク入り(当時の商品名)」は、UCC創業者の上島忠雄氏(1910~1993年)の、「いつでも、どこでも、一人でも多くの人においしいコーヒーを届けたい」という創業精神から誕生したという。
認定授与式に出席した同社の上島達司会長は、「“UCC ミルクコーヒー”の登場は、国内のコーヒー飲用の裾野を大きく広げ、業界を活気づけました。発売から49年、多くの皆様にご愛飲頂いたことに感謝を申し上げます。これからも創業精神を胸に、社員一丸となって取り組んでまいります」とコメントしている。
ギネス認定授与式の様子
〈開発のきっかけは「もったいない」から〉
商品誕生の背景には、こんな逸話がある。あるとき、上島忠雄氏が駅の売店で冷蔵の瓶入りのコーヒー牛乳を購入した際、ひと口飲んだ時に電車の発車ベルが鳴り、当時、瓶は回収されていたため、大半を飲み残して瓶を返却せざるを得ないことがあった。この時の「もったいない」という思いが、常温長期保存が可能で、車内などにも持ち運びのできる“缶入り”のアイデアにつながり、自らが中心となって開発をスタートしたという。
しかし、製品化には苦労し、コーヒーとミルクの分離、高熱殺菌による風味の劣化など、専門家の協力を得ながら試行錯誤を繰り返した。特に、缶に含まれる鉄イオンとコーヒー成分のタンニンが結合し、コーヒーが真っ黒に変色するという難問には、製缶会社との取り組みで、缶の内側に特殊コーティングをする技術を開発したという。これらの活動により、いつでもどこでも飲める飲用スタイルや安定的な品質保持にこだわった缶コーヒーが誕生した。
〈万博で注目を集め拡大、49年間で約150億本を販売〉
だが、1969年4月の発売当初は、なかなか売り上げは伸びなかったという。脚光を浴びたのは、翌1970年の3月から大阪で開催された「日本万国博覧会」で、来場した多くの人の目にとまったことで全国に広がっていった。現在まで、49年間で累計約150億本を販売している。
「UCCミルクコーヒー」(250g缶)は、幅広い世代が楽しめるミルクの甘みがやさしい、まろやかなミルクコーヒー。時代とともに変化する嗜好に合わせてリニューアルし、現在の商品は9代目となる。レギュラーコーヒー100%使用で、香料不使用。パッケージの赤、白、茶の3色は発売当時から変わっておらず、それぞれ完熟したコーヒーの実(赤)、花弁(白)、焙煎豆(茶)を表現しているという。