記録的猛暑で清涼飲料各社フル生産 トラック不足で品薄、大量発注で混乱も
また、流通業からの実需以上の大量発注が相次いでいることも、現場を混乱させる一因となっている。小売業は、一度でも欠品になると、顧客ニーズに対応するべく多めに発注するため、全体として実際の需要をはるかに上回る発注になるケースが増えてきている。飲料各社に現在の活動状況を聞いた(7月25日18時時点)。
〈メーカー各社、急ピッチで対応〉
大塚製薬は、「ポカリスエット」ブランドの販売数量が7月に入り2ケタ増で推移している。工場はフル稼働し、増産体制で需要増に応える。非常に多くの注文が舞い込んでいることと物流面の課題もあり、対応を急いでいるという。
サントリー食品インターナショナルは、7月に入り、水、お茶、「グリーン ダ・カ・ラ」などの止渇性飲料の売り上げが大幅に伸びている。同社は、暑い夏を想定して計画を立てていたが、止渇飲料はさらに15%増産で取り組んでいる。
アサヒ飲料も、工場をフル稼働し、「三ツ矢サイダー」や「ウィルキンソン」の需要増に対応しながら、水や茶系飲料の供給に努めているが、西日本の大雨の影響以降、特に九州方面や被災地への物流に課題があり、配送が遅れる状況もあるという。今後、いくつかの商品で出荷が厳しくなる様子。
キリンビバレッジは、「ソルティライチ」が7月に入り売り上げが1割増加している。特に、パウチタイプは「少しずつ飲める」ことが50~60代に支持され3割増となった。スポーツドリンクの「ラブズスポーツ」は7月~8月に2割増産の計画を組むなどして対応しているが、通常通り出荷できていないところもある。
ポッカサッポロフード&ビバレッジは、7月に入り熱中症対策飲料の「キレートレモン Cウォーター(500ml)」が3割増、「キレートレモン シーサプライ(900ml)」が2割増で推移。冷製スープ製品も食欲のない時に選ばれ、売り上げが伸びているという。
〈豪雨で広島県内の工場・物流拠点浸水、供給厳しく/コカ・コーラボトラーズジャパン〉
一方、コカ・コーラボトラーズジャパンは、管轄する東日本と西日本のエリア(1都2府35県)で、商品供給がやや厳しくなってきている。これは、このほどの豪雨により同社の本郷工場(広島県三原市)と、隣接する物流拠点において浸水の被害が発生したことが影響している。また、同社は昨年から統合会社としてスタートしたが、現場レベルで盛夏期に作業するのは今年が初めてのため、主力の炭酸飲料やスポーツドリンクが予想をはるかに上回る大量発注を受けたことにより、現場が対応に追われている。
なお、コンビニ向けに発売している「アクエリアス冷凍ペット490ml」が予想を上回る売り上げとなり、北海道と沖縄を除き、7月21日から販売休止となった。現在、早期の再販を目指し取り組んでいる。
〈熱中症対策商品への注目高まる〉
全国清涼飲料連合会(全清飲)によれば、同会のWEBサイトの中の「熱中症対策表示ガイドライン」へのアクセスが急増しているという。全清飲では、100mlあたり40~80mgのナトリウム(食塩相当量として0.1~0.2g)を含んでいる飲料を「熱中症対策に適した飲料」として表示できるよう12年にガイドラインを定めた。
体内の塩分濃度が下がっている時は、いくら水を飲んでもうまく水分を吸収することができない。このような状況を防ぐため、厚労省のWEBサイトなどでは、水分だけでなく塩分を合わせて摂取することを推奨している。
〈食品産業新聞 2018年7月26日付より、一部改稿〉