元JRA高嶋騎手も パラアスリート雇用を推進、コカ・コーラ社のダイバーシティ戦略

パラ馬術大会で活躍中の高嶋活士氏
コカ・コーラ ボトラーズジャパンは、ダイバーシティ推進と障がい者活躍の取り組みを強化している。同社のダイバーシティの推進は、人権の尊重を核に、2020年までの基本方針として5つにフォーカス。女性活躍、障がい者活躍、高年齢者活躍、性的マイノリティの受容、外国籍労働者の受容をテーマにしているが、2020年までの短・中期の目標としては、女性社員の活躍推進と、障がい者の活躍推進を重点テーマに取り組んでいる。

興味深いのは、2018年4月に「障がい者雇用課」という専門セクションを人事本部人事戦略推進部の中に設置したことだ。法律で定められた数を上回る障がい者を雇用することと、その人たちに合った職場を用意し、いきいきと働ける環境づくりなど、採用から定着まで同課が一元管理していることが特徴。このような付加価値の高い活動が実践されることで、ステークホルダーから信頼を得て、企業価値を高めるねらいがある。

ダイバーシティー推進:中長期ビジョン(コカ・コーラ ボトラーズジャパン)

ダイバーシティー推進:中長期ビジョン(コカ・コーラ ボトラーズジャパン)

その中で、同社が障がい者活躍のひとつに置いているのが、パラアスリートの支援だ。同社人事本部人事戦略推進部の直井ゆかり部長は、「パラアスリートと、アスポンサー契約する会社は多いが、当社は契約社員として雇用している。そのため、アスリートとしての活動が終わった後でも、社員として定年まで働いていただく機会も提供している。また、業務をしながらアスリート活動をしていただいているのも特徴だ。現在、パラ馬術の選手が当社に2人いるが、今後10名程度までパラアスリートを増やしていきたい」とした。
 
同社の人事本部人事統括部で職務にあたる高嶋活士さんもそのひとり。高嶋さんはもともと、2011年3月に日本中央競馬会(JRA)の騎手としてデビューしたが、2年後の落馬事故で負傷。復帰を信じてリハビリを続けたが、2015年9月に騎手を引退していた。その後、2020年の東京パラリンピックの馬術競技出場を目指して始動し、2017年6月にコカ・コーラ ボトラーズジャパン(当時コカ・コーラ イーストジャパン)に入社した。2018年11月に行われた全日本パラ馬術大会で優勝するなど、東京パラリンピックの代表候補の一人だ。高嶋さんは、「社員として働きながら競技を続けることで、会社のみなさんからたくさん応援していただけて嬉しい。競技生活後も社員として働ける安心感があるので、競技に集中できる。パラリンピック出場に向け、好成績を残し、もっとポイントを獲得したい」とした。

高嶋氏は2017年6月に入社、東京パラリンピックの代表候補となっている

高嶋氏は2017年6月に入社、東京パラリンピックの代表候補となっている

直井部長は、「当社は、ダイバーシティの推進により、多様性を受容する組織風土、社内制度、職場環境を作る。年齢、性別、障がいの有無、国籍などの属性によらず、全ての社員が能力を最大限に発揮できる状態にする中で、品格を備えたエクセレントカンパニーを目指したい」としている。
 
〈食品産業新聞 2018年12月13日付より〉