京都・上賀茂神社2600年の歴史で初の常設お休み処はコーヒースタンド! 「神山湧水珈琲 煎」の狙いとは/味の素AGF社
日本最古の神社のひとつであり、世界文化遺産にも登録されている「上賀茂神社」(京都市北区、正式名称=賀茂別雷神社)の境内に、コーヒーが楽しめるお休み処「神山湧水珈琲 煎(こうやまゆうすいこーひー せん)」が開設された。上賀茂神社の約2600年に及ぶ歴史の中で、お休み処が常設されるのは初めてという。
今回の取り組みは、上賀茂神社と味の素AGF社が、21年に1度の式年遷宮(平成27年10月)を記念し、同年5月から継続的に実施している文化事業の一環だ。社務所の横にコーヒーカウンターを設置し、隣接する「憩いの庭」で座って境内の風景を楽しみながら参拝者がくつろぐことができる。
〈境内を流れる「神山湧水」で淹れたコーヒーを提供〉
なぜ、日本最古といわれる神社でコーヒーを提供するのか。それは、同所で提供されるコーヒーが、上賀茂神社が長い間守り続けてきた境内を流れる名水の「神山湧水(こうやまゆうすい)」で淹れたものだからである。味の素AGFは、神山湧水の成分を調べ、その泉水に合ったコーヒー豆のブレンドを行った、世界でただひとつの「神山湧水珈琲」を開発した。
完成披露式典では、「憩いの庭」で藤原道山氏による尺八の奉納演奏が行われた
味の素AGF社は、上賀茂神社において4年前からスタートした式年遷宮の文化事業において、式年遷宮の当日の模様をインターネット中継したほか、横綱白鵬関を招いた奉納土俵入りや、松本幸四郎さんの襲名を記念した奉納舞台を行ってきた。また、境内を流れる神山湧水を巡るガイドツアーや、境内の山の整備などの活動を通して、同神社との結びつきを強めていた。
4月9日に行われた完成披露式典で、上賀茂神社の田中安比呂宮司は、「われわれのご神体である神山に降った雨が、当神社の境内の地下などを流れており、私たちはそれを神山湧水と呼んでいます」と説明。
参拝者が手を清めたり口をゆすぐのに使用するため、保健所に依頼して検査したところ、「申し分のない素晴らしい水」と評価されたという。
完成披露式典 右から3人目が上賀茂神社の田中安比呂宮司
田中宮司は「昨年の夏は大変な暑さで、ご参拝された方の中には体調を崩される方もいらっしゃいました。そのため、参拝者の皆様が自由に憩っていただき、“神山湧水”を使ったおいしいコーヒーを飲んでいただける場所を作りたいと考えまして整備事業を行いました」と話した。
〈神々しい雰囲気の中で、ゆったりとコーヒーを楽しんで〉
味の素AGF社の品田英明社長は、「平成27年の式年遷宮の文化事業として、最初に取り組ませていただいたのが“神山湧水珈琲”の開発です。古来より境内に流れている大変水質の良いおいしい“神山湧水”に合うコーヒーを目指し、われわれの従来にない技術を使って開発することができました」と述べた。
「神山湧水珈琲 煎」を手に、味の素AGF社の品田英明社長
そこでできたおいしいコーヒーを、もっと多くの人に飲んでもらいたいと考えて作ったコーヒーが、同社の「AGF 煎」だという。その後、「神山湧水珈琲」を上賀茂神社の参拝者にも飲んでもらうことを検討し、今回の「神山湧水珈琲 煎」開設に至った。
「美観を損なうことなく社務所の横にコーヒーを振舞わせていただく場所を作ることができ、さらにそれを神々しい雰囲気の中でゆったりと楽しんでいただける場所としての“憩いの庭”を開設させていただきました」(味の素AGF社・品田社長)。
提供メニューは、「神山湧水珈琲 煎」でホットとアイスを用意している(各400円税込)。日本発のコーヒー文化を提唱するAGFの新たな挑戦といえそうだ。