キリンHDが乳酸菌事業を強化、自社生産開始に向け埼玉・狭山に新工場

キリンHD「iMUSE ヘルスサイエンスファクトリー」外観
キリンホールディングスは、医と食をつなぐ事業の取り組みの一つである「iMUSE(イミューズ)」ブランドのさらなる成長に向け、乳酸菌原料を製造する新拠点「iMUSE ヘルスサイエンスファクトリー」(埼玉県狭山市)を設立し、4月25日から製造を開始する。これまでは乳酸菌原料を外部調達していたが、自社生産により、機動的かつ柔軟に製造計画を立てられるようになることから、安定的な供給を目指す。

キリングループは、30年以上にわたり免疫学の基盤研究を続け、抗体医薬品などの免疫分野における医薬品事業を展開。また、その中で“プラズマ乳酸菌”や“KW乳酸菌”などの乳酸菌を発見し、研究を重ねてきた。

同社のヘルスサイエンス事業部の佐野環部長は、24日に行われた発表会で、キリンが免疫研究を取り組み続ける背景について、昨今の医療費の高騰などで健康寿命を長く保つことが社会課題になっていることを挙げた。「私たちは、人が本来持っている“免疫”という健康状態の維持を担う仕組みに着目し、食の特徴を活かしたアプローチで貢献していきます。安全性の高さや、薬とは異なる複数の成分による作用が期待されるため、食品での展開は意義が大きいと思います」とした。

キリンHD ヘルスサイエンス事業部 佐野環部長

キリンHD ヘルスサイエンス事業部 佐野環部長

同社は乳酸菌事業の将来性を視野に、「プラズマ乳酸菌」をドライバーとしたヘルスサイエンス事業の確立を目指している。2018年の同事業の売上高は55億円だったが、21年に150億円、27年には230億円を目標に掲げている。海外での展開も検討し、19年6月には東南アジアに研究拠点を開設、そして、健康意識の高い地域として知られる北米での展開も予定しているという。

これまで、17年秋に中核ブランドの「iMUSE」をスタートし、飲料、ヨーグルト、サプリメントなどを横断的に展開してきた。さらに、今年4月からはKW乳酸菌を配合したサプリメント「Noale(ノアレ)」を自社商品として発売している。健康を推進するさまざまな企業との連携も促進しながら、同事業を持続的に成長させる考えだ。

キリンHD「iMUSE ヘルスサイエンスファクトリー」内の製造設備

キリンHD「iMUSE ヘルスサイエンスファクトリー」内の製造設備

【新工場の概要】
▽工場名=iMUSE ヘルスサイエンスファクトリー
▽所在地=埼玉県狭山市大字上広瀬1254(小岩井乳業株式会社東京工場内)
▽敷地面積=895平方メートル
▽製造能力=約10t(初年度見込み)
▽製造乳酸菌=プラズマ乳酸菌、KW乳酸菌
▽投資金額=約20億円