500mlPETコーヒー市場の拡大進む コーヒー飲料の3割超へ、水出し・微糖・“泡のコーヒー”など多様化

各社が展開する“500mlPETコーヒー”商品
〈パーソナルサイズコーヒーの対面販売で構成比3割超へ〉
新型ボトルを用いた500mlPETコーヒーの勢いが止まらない。2017年に「クラフトボス」が開拓し、18年から「ジョージア ジャパン クラフトマン」なども参入して盛り上がりを見せている同市場は、18年に前年比2.8倍と拡大した(本数ベース、手売りチャネル)。缶、ボトル缶など500ml以下のパーソナルサイズのコーヒー飲料における構成比(手売りチャネル)は約2割となり、今年は3割超えが確実な状況だ。

500mlPETコーヒー市場の拡大は、これまで缶コーヒーをあまり飲用していなかった20-30代男女から支持されていることが大きい。オフィスで仕事をしながら少しずつ飲む“ちびだら飲み”が定着する中で、すっきり飲みやすい・飲み飽きない味覚ニーズと、のどを潤す・リフレッシュという飲用ニーズに応えた。新型ボトル採用によるカジュアル・スタイリッシュなイメージもファン獲得に貢献している。

コーヒー飲料のパッケージ別構成比の推移(コカ・コーラシステム資料)

コーヒー飲料のパッケージ別構成比の推移(コカ・コーラシステム資料)

各社は、自社の看板商品である缶コーヒーへ注力しながらも、成長著しい500mlPETコーヒーに最注力し、商品ラインアップの充実とコミュニケーション強化に取り組んでいる。定番化した「ブラック」と「ラテ」にとどまらず、抽出方法や味覚タイプ、容量の広がりなどにより、カテゴリーの中でバラエティ化が起きていることが成長を後押ししている。

コーヒー飲料のパッケージ別特性(コカ・コーラシステム資料)

コーヒー飲料のパッケージ別特性(コカ・コーラシステム資料)

コカ・コーラシステムは、水出し抽出によるコーヒーを使用し、やさしい口あたりと透明感のあるコク、すっきりとした後味を楽しめる「ジョージア ジャパン クラフトマン 微糖」(500mlPET、149円税別)を6月17日から全国で発売する。甘味料を使用せず、牛乳とほのかな砂糖の甘みをバランスよくブレンドしていることが特徴だ(糖類45%減)。
 
自社調査において、“ながら飲み”が広がる中で、「ブラックは苦い、ラテは甘すぎる」「控え目な甘さのコーヒーが飲みたい」と感じる人が多くいることに着目。あえて、新商品では“微糖”を強調した。日本コカ・コーラでジョージアを担当する新田祐一郎さんは、「微糖というと、缶コーヒーなどを想起され、新しさが伝わらないのではないのではないかとも考えたが、実際に若い女性に調査すると、好意的だったことから、はっきりと微糖を訴求することにした。甘さ控えめの微糖コーヒーを求める声が大きいが、現状では缶・ボトル缶以外の選択肢がほとんどなく、若年層を取り込めていなかった」と開発背景を語る。

6月17日発売「ジョージア ジャパン クラフトマン 微糖」

6月17日発売の「ジョージア ジャパン クラフトマン 微糖」

導入前からコミュニケーションを展開することで、微糖発売に対する待望感を増幅させ、導入時の勢いを最大化する考えだ。「コーヒーは、185g缶やボトル缶に注力するのはもちろんだが、伸びている500mlPET市場に注力することが重要だ。新商品の微糖は“軽快な飲みごこち”であることをお伝えし、ブラック、ラテに次ぐ、新たなペットボトルコーヒーの飲用スタイルを提案していく」(新田さん)。
 
一方、カテゴリートップの「クラフトボス」(サントリー食品インターナショナル)は、「ブラック」と「ラテ」が、発売3年目の今年もそれぞれ前年を超える実績で推移しており、一段と伸長している。「ブラウン」は、4月のリニューアルの奏功により、初代を上回るトライアル・リピートを獲得。同商品は“微糖”を全面的に訴求していないが、微糖ボトル缶コーヒーユーザーからの支持も得ている。夏に向け、「TEA ノンシュガー」「ミルクTEA」も含め、「クラフトボス」5品体制でさらなるブランド強化を図っていく。
 
「クラフトボス」と「ジョージア ジャパン クラフトマン」を追うのは、「ファイア ワンデイ ブラック」(キリンビバレッジ)だ。4月2日の発売以降、計画を2倍を上回るペースで販売量が推移し、発売6週間で1500万本を突破した。特徴は、他を上回る容量の600mlというコストパフォーマンスの高さと、酸味と苦みを抑えた味わいで、すっきり飲みやすく、常温になっても香りがよいこと。マツコ・デラックスさんを起用したCMのインパクトもトライアルに貢献した。
 
アサヒ飲料は、泡まで楽しむPETコーヒー「ワンダフルワンダ」の第2弾商品として、「ワンダフルワンダ ラテ」(500mlPET)を5月14日から発売。泡を立ててなめらかな味わいを楽しむ設計で、500mlPETコーヒーに新たな価値を提供し、市場活性化に貢献している。
 
また、水出し抽出の提案をいち早く行っていた「UCC BLACK COLD BREW」は、今年3月のリニューアルから、より澄み切った味わいを追求し、COLD BREW(水出し)ならではの、雑味のないクリアな味わいにしている。UCC上島珈琲は、嗜好品も含めて水出しコーヒー商品の開発・普及を強化しており、同商品のパッケージにはグループ共通の「COLD BREW ロゴマーク」を配置している。
 
伊藤園は、ミルクの甘さだけですっきりした飲み口に仕上げた「TULLY’S COFFEE Smooth LATTE」を4月にリニューアルし、さらにミルク感を高めた。無糖カフェラテという差別化した商品で、ファンを増やしている。