「缶コーヒーで一服」の価値に再注目、“働くにはサボることも必要”テーマに「カフェ・ド・ボス」発売/サントリー食品インターナショナル
同社は、発売3年目となるペットコーヒーの「クラフトボス」が、オフィスにおけるちびちびだらだら飲む“ちびだら飲み”を促進し、今年は紅茶飲料も投入したこともあって、同シリーズの販売数量は1-7月累計で前年比126%となった。通年では年初目標を上回る3000万箱超を達成する見込みだ。
ただ、展開する中でペットコーヒーの課題も見えてきたという。それは、作業をしながら飲めて便利な“ちびだら飲み”というセールスポイントが、逆にユーザーから「デスクから離れる機会が減り、仕事の切れ目がなくなるのが窮屈」という不満の声が出ていることだ。
一方、「ボス」ショート缶の製品群(185g缶中心)は復調傾向にあり、1-7月で101%となった。同社では、コーヒーを飲んで一服したいという“一服回帰”の兆しがあると分析する。
ショート缶に【復調の兆し】(サントリー食品インターナショナル資料)
そこで、秋の新製品「カフェ・ド・ボス」を通じて、缶コーヒーの価値を“短い一服をした方が、仕事もはかどる。そんな時は缶コーヒー”と再規定し、「世界で一番小さいカフェで、一服を」をテーマに活動する。商品コンセプトは、“サボるって、一人でとれる小さな休み”とした。
8月27日に行われたボス戦略発表会で、同製品の開発を担当したブランド開発事業部の福永すみれさんは、「ユーザーの方々から、“効率的に働くために、時々ちゃんと休みたい”、“缶コーヒーは区切りをつけたい時にピッタリ”という声をいただいており、仕事中の休憩や区切りを求めて、ショート缶を再び飲み始めて下さる方もいらっしゃる。ペットコーヒーの“ちびだら飲み”の反動からくる“休憩迷子”の方がいらっしゃるので、そのような方々に“カフェ・ド・ボス”をお勧めしたい」とした。
新製品の「カフェ・ド・ボス」は、ショート缶ではあるが、若年層や女性層のユーザー拡大に成功した「クラフトボス」シリーズの知見を活かしている。同シリーズで評価されている“親しみやすいパッケージ”と、独自焙煎や独自エスプレッソなどの“こだわりが感じられる中味作り”を追求した点だ。若年層から支持されているスープの「ビストロボス」のデザインも参考に、若年層や女性層などの新たな顧客開拓も進めていく。
同社常務執行役員の柳井慎一郎ブランド開発事業部長は、「ボスのショート缶の新製品は、ここのところ、缶コーヒーのヘビーユーザーの方を常に意識しながら製品開発やコミュニケーションを行ってきた。ただ、ずっと全く同じような戦略を続けていいのかと考えたのが今回の施策だ。缶コーヒーのお客様の間口が復調傾向となっていることもあり、今秋は“ボス”のショート缶の舵を切ってみようと考えた。新製品の中味は、ミルクリッチではあるが低糖タイプで、今まで出してきたショート缶製品よりは軽めの味わいになっている。これまでのヘビーユーザーの味覚だけでなく、新しいお客様の味覚にも満足できるようなものを意識した」と話した。
ペットコーヒーの「クラフトボス」で新需要を開拓してきた同社が、やはり缶コーヒーでのひと時の休息は現代の働く人にとって不可欠だとした今回の「ボス」の新戦略。“ちびだら”飲み疲れの人たちの新たな選択肢になるか。
なお、「カフェ・ド・ボス ふんわりカプチーノ」「カフェ・ド・ボス ほろあまエスプレッソ」のコミュニケーションでは、「地球調査シリーズ」の最新作として、立川談春さんと岡崎体育さんが登場する「老舗」篇を発売日からオンエアする。「働かないと、サボれない。働くには、サボることも必要だ。」をテーマに、和菓子屋を舞台に人間模様を描いたCMだ。
コミュニケーションテーマは「働かないと、サボれない。働くには、サボることも必要だ。」(サントリー食品インターナショナル資料)