「カロリーメイト リキッド」がブロックの飲料版ではないワケ/大塚製薬
「カロリーメイト」というと、ブロックタイプを想起する人が多いため、リキッドを見てもブロックの飲料版と見られがちだが、同社製品部で「カロリーメイト」を担当する岩﨑央弥さんは、「実は、ブロックとリキッドは、同じ“バランス栄養食”でもルーツが異なります」と話す。
「カロリーメイト」ブランドは1983年に発売され、当時は存在していなかった栄養補助食品の市場を創造した。現在まで成長を続けており、栄養補助食品市場(固形)でシェアナンバーワンを確立している。「カロリーメイト」のブロックとリキッドタイプは、ともに36年前に同時発売されているが、その開発背景は異なる。
ブロック・リキッド・ゼリーを展開する「カロリーメイト」ブランド製品
「カロリーメイト ブロック」のルーツは、いつでも、どこでも、誰にでも食べられる「朝食」を提供するというもの。手軽さ・おいしさ・ユニークさから、イギリスの菓子であるショートブレッドを参考にし、菓子ではなく食事としての栄養を重視したという。
一方、「カロリーメイト」のリキッドタイプ(当時は缶と呼んでいた)は、大塚製薬の研究員が、病院で元気そうな患者の点滴風景を見たことがきっかけ。点滴でなく、経口からの栄養摂取に切り替えることができれば、退院して社会復帰につながり、口から食べられる喜びも届けられると考え、濃厚流動食の“ハイネックスーR”が開発された。それを病院の外でも健康的なバランス栄養を摂れるものとして誕生したのが「カロリーメイト リキッド」だという。
「カロリーメイト リキッドとブロック」(大塚製薬資料)
岩﨑さんは、「ライフスタイルが多様化し、食の欧米化やインスタント食品が急速に普及した時代。“カロリーメイト ブロック”は、世の中で朝食欠食が増えることを予想した“新しい朝食”の位置づけであり、“カロリーメイト”のリキッドタイプは、“点滴に代わる栄養食”の位置づけとしています。同じ栄養食でもルーツが異なっています」と話した。
ただ、これまで展開していた「カロリーメイト」のリキッドタイプは、バランス栄養食自体が新しいカテゴリーだったこともあり、「消費者にとっては経験のない味わいとして、受け入れられるのに苦労しました」(岩﨑さん)とする。そこで、今回の発売する3製品は、技術革新により今までにない味づくりを実現し、「栄養」と「味」の両立を最大限追求したという。
「健康を考えて朝食時の飲料を選ばれている方も多いですが、そのバランス栄養が偏っていることも少なくありません。“カロリーメイト リキッド”は、飲み続けやすい新フレーバーも投入しましたので、改めて世の中に提案していきます」とした。
なお、今回発売した「カロリーメイト リキッド」3製品は、既存シリーズに比べてタンパク質量を強化し、リキッドシリーズで10gに統一するとともに、ビタミン量を強化し、新しい栄養摂取基準に対応した1日の必要量の約半分の設定した。また、主力のカフェオレ味をすっきり飲みやすくするとともに、新製品のフルーツミックス味やヨーグルト味など、シリーズ初の酸性フレーバーのバリエーションを展開している。