プラスチックの資源循環を加速、世界におけるモデルケース目指す/日本コカ・コーラ〈サステナビリティの取り組み〉

本社にもリバースベンディングマシーンを導入し循環型社会に向けた活動を推進(日本コカ・コーラ)
廃棄物ゼロ社会(World Without Waste)を目指し、全世界のコカ・コーラシステムが動いている。日本コカ・コーラでは、「容器の2030年ビジョン」を2018年1月に発表したが、海洋プラスチックごみへの問題意識の高まりもあり、2019年7月に改定して従来の目標達成を前倒し、国内の優れた資源循環の関連機関との連携を深め、世界におけるプラスチック資源循環利用のモデルケースとなることを目指している。今年5月からは、日本財団と協力し、プラスチック資源の適切な回収と循環利用への貢献を目的に国内初の大規模調査を実施している。また、6月には完全循環型PETボトルリサイクルによる「一(はじめ)緑茶 一日一本」を、セブン-イレブン・ジャパンとともに開始した。循環型社会に向けた活動を推進していく考えだ。

コカ・コーラシステムは、社会や地球環境におけるサステナビリティが、ビジネスを成長させるための必須条件と考え、「廃棄物ゼロ社会」実現に向けた取り組みに注力している。ビジネスを展開するどの国でも地域に根差した事業を重視し、個人、地域社会、環境の3領域でボトラー社とともに、グローバルとローカルの両方の課題に合わせた活動を行っている。

「容器の2030年ビジョン」において、核となるのは「設計」「回収」「パートナー」の3つの達成目標である。「設計」での注目は、“ボトルtoボトル”の推進により、2022年までにリサイクルPET樹脂の使用率50%以上を達成し(18年実績は約17%)、2030年に90%まで高めるという目標を掲げたこと。

「回収」では、2025年までに国内で販売する全製品にリサイクル可能な容器を採用し、全てのPETボトルにサステナブル素材を使用することを掲げた。

「パートナー」では、2030年までに国内で販売した自社製品と同等量のPETを回収することと、自治体や地域社会などと協働し、すでに極めて高い水準にあるPETボトルと缶の回収・リサイクル率のさらなる向上に貢献するため、より着実な容器回収・ リサイクルスキームの構築とその維持に取り組む。

両トップが登壇し、大規模調査開始を発表

日本コカ・コーラと日本財団の両トップが登壇し、大規模調査開始を発表

 
今年に入って目立っているのは、パートナーとの取り組みである。5月には、公益財団法人の日本財団と国内における「陸域から河川への廃棄物流メカニズムの共同調査」を開始したことを発表した。これは、プラスチック資源の適切な回収と循環利用への貢献を目的とした国内初の大規模調査であり、全国8カ所で、陸域から河川へ流出した廃棄物を約240kmにわたり調べるもの。どのようなプラスチック資源が、どういった経緯で資源回収スキーム(枠組み)から外れ、河川や海にたどりつきやすいのかといった、プラスチック資源の流出メカニズムを明らかにすることを目指す。調査結果は、2019年内にまとめ、プラスチック資源のさらなる有効活用のための政策提言とともに公表する予定としている。
 
〈完全循環型PETボトルを採用〉
そして6月には、セブン&アイ・ホールディングスとの共同企画商品「一(はじめ) 緑茶 一日一本」のリニューアルを発表した。同製品はPETボトルの原材料として、セブン&アイグループの店頭で回収されたPETボトルを100%使用したリサイクルPETボトルを使った完全循環型PETボトルを採用した。
 
特定の小売りグループ内で回収したPETボトルをリサイクルし、再び同一の小売りグループ内で販売する取り組みは、世界で初めて。わかりやすいリサイクルループを示すことで消費者の理解を高め、リサイクルへの積極的な参加を促していきたい考えだ。
 
なお、日本コカ・コーラは、循環型社会への取り組みの一環として、プレゼンティングパートナーを務める「東京オリンピック2020」の聖火リレーに協力。聖火リレーのユニフォームに、社内で回収したPETボトルのリサイクル素材を15%採用している。