〈おいしく牛乳消費〉ミルクマッチで嗜好品の味わいアップ、知ってる人は使ってる希釈飲料の世界
サントリー食品インターナショナルは、家の中で楽しむ“イエナカ”コーヒー市場に向けて、濃縮タイプ飲料の「ボス カフェベース」(340mlPET、5種類)を3月から発売している。「ボス カフェベース」の「無糖」、「甘さ控えめ」、「贅沢カフェインレス」は、牛乳で割ればラテに、水で割ればブラックで楽しめることが特徴。そのほかに、牛乳で割るタイプの「焦がしキャラメル」と「紅茶ラテ」を展開している。同社は、新型コロナの感染拡大が起きる前から希釈飲料に注目していた。その開発背景について、「働き方の多様化がより進み、テレワークやフレックスタイムの導入で、家を拠点に仕事をする人も増え、イエナカとイエソトのボーダレス化が進んでいる」としている。
100年前から希釈タイプの商品を販売しているのはキーコーヒーだ。現在は、「カフェオレベース」(希釈用)の名称で、牛乳とまぜるだけで、コク深くマイルドな味わいが楽しめるカフェオレとして展開している。今春からは、同社創業100周年の限定パッケージを採用。家庭にコーヒーを浸透させた画期的な商品として、リピート買いの多い商品だ。
キーコーヒー「カフェオレベース」(希釈用)
希釈飲料の容器の代表格としては、ポーションタイプが挙げられる。一杯ずつ個包装のため新鮮な味わいが楽しめ、常温で保管できることが特徴だ。牛乳と組み合わせるとコクがグンと増すことから、人気が高まっている。味の素AGFは、「ブレンディ」ポーションを展開中。コーヒーだけでなく、紅茶、ココアなどさまざまな味わいをラインアップし、その時の気分で自由に選ぶことができるのが強みである。
味の素AGF「ブレンディ」ポーション
ネスレ日本は、「ネスカフェ ゴールドブレンド コク深め」といったメジャーブランドの商品を展開することで、新規飲用者を増やしている。ポーションタイプは、使い勝手とバラエティで特に優れているため、牛乳の飲用を習慣化する助けになりそうだ。
「ネスカフェ ゴールドブレンド コク深め」などネスレ日本のポーション商品
一方、希釈飲料の代表的な商品は「カルピス」(アサヒ飲料)だろう。「カルピス」のコンク飲料は、家庭内需要の高まりの影響もあり今年3月単月の実績は、前年比3%増となった。同社では、新型コロナの影響で苦境にある酪農家の役に立つことを検討し、「牛乳」と「カルピス」を割って飲む提案を強化しているという。
もともと「カルピスの牛乳割り」は、店頭でのレシピ提案として実施してきたが、店頭での活動が難しくなったこともあって、新たにSNSやアサヒ飲料のWEBサイトでも情報発信を強化する。同社担当者は、「巣ごもり家庭のおやつの時間などに『カルピス』を作って楽しむ提案をするとともに、『牛乳』で割ることで手軽に新しい楽しみ方を改めて知っていただくために情報を発信することで、『牛乳』の消費拡大に少しでも貢献できればと考えています」とする。
アサヒ飲料は「カルピスの牛乳割り」を提案(画像は「カルピス」公式Twitterの投稿)
牛乳をよりおいしく楽しむ方法では、希釈飲料以外にも、JA全農が「ヨーグルト」「牛乳」「砂糖」の3つの材料を使った「ラッシー」の作り方を紹介しているほか、ポッカサッポロフード&ビバレッジも「牛乳」「ポッカレモン100」「はちみつ」を使った「レモンラッシー」を提案している。酪農家の支援に向けて牛乳消費を促進する製品開発やメニュー提案の取り組みは、これからも飲料・食品企業各社で広がりそうだ。