ワイングラスで楽しむ低温抽出紅茶を提案、新市場創出へ/三井農林
嗜好飲料の多様化が進むなか、近年、茶の新たな楽しみ方として、コールドブリュー(低温抽出)製法によるボトルドティーが注目されている。ボトル入りという見た目の高級感や、ワイングラスなど飲み口の広いグラスに注ぎ、茶葉の香りを楽しむという斬新なスタイルが支持される理由。
三井農林は1909年の創業。1927年に日本初の国産ブランド紅茶「日東紅茶」(旧称三井紅茶)を発売し、以来、国内の茶、特に紅茶市場の発展を牽引してきた。
2017年、同社はボトルドティーのテスト販売(ダージリン・ファーストフラッシュ)を実施。高級ワインと並ぶ付加価値の高い茶製品をつくり、 ハイエンド市場に茶を浸透させ、新市場を創出するというねらいが背景にある。
「“本物のおいしさをお届けしたい”という思いが出発点だった。当社には創業以来、積み重ねてきた茶に関する深い経験と知見がある。世界各国から集めた茶葉の鑑定、選別、調達から品質管理、ブレンド、製品化に至るまで、家庭用市場でトップシェアを築いてきた日東紅茶の経験から得た力は、他社にはない強み。こうした技術力・調達力・開発力を駆使して新たなチャレンジをしたいと考えた結果だ」(同社)。同品の好評をうけて翌2018年秋には和紅茶、碾茶を加えた3品で本格販売を開始した。
「WN Cold Brew Tea」のこだわりは大きく3つ。まず、香料や添加物不使用とし、良質な茶葉本来の豊かな香りを活かしていること。
次に、世界各地から収集した茶葉サンプルから、同シリーズに適したものを選び出していること。
さらに、日本一の名水の里として知られる山梨県北杜市の八ヶ岳水系の深層地下水を使用していること。山梨県北杜市にある同社須玉工場で長年培ってきた製造ノウハウを駆使し、八ヶ岳の天然水を原水に低温で丁寧に茶葉を抽出している。独自製法を用いて、抽出の過程で失われる香りを閉じ込めることにも成功。「八ケ岳がもたらす豊かな軟水が繊細な味わいを引き出し、無香料でありながら力強く華やかな香りを生み出した」(同社)という自信作ができた。
その品質の高さは、食通の人々の間で話題となっている。人気雑誌「BRUTUS」(お取り寄せグランプリ2020)や、ぐるなびのウェブサイト(接待の手土産セレクション2020)で高評価を得たほか、今年6月~8月にかけてはANAの国際線ファーストクラスの期間限定ドリンクとして、同シリーズの「和紅茶」が導入されている。
昨今のコロナ禍をふまえ、同社は今後、一般向けの販売にも注力していく方針だ。「お茶、という誰にでも喜ばれる商品であることに加えて、高級感やボトル入りという新しい形、常温で長期保存可能という利便性も好評だ。ギフト需要へのアプローチを一層、進めていきたい」(同社)。
◆楽天市場・三井農林公式オンラインショップ「ティーマート」
https://www.rakuten.co.jp/mitsui-norin/