コロナ禍でも好調のレモン食品市場、首位のポッカサッポロはレモンの産地・広島で地域共創に取り組む
ポッカサッポロフード&ビバレッジは、「ポッカレモン」を1957年に発売し、家庭用レモン果汁の市場でトップシェアを誇る。現在、レモン食品の市場は100億円を超え、同社の市場シェアは85%以上を占める。中期目標では、2026年にレモンの総需要を2倍にするとしており、新たな需要の創造に向け、食シーンの拡大や健康的な価値の発信が重要になっている。
そこで、ポッカサッポロフード&ビバレッジは、国内最大のレモン生産地である広島県と2013年にパートナーシップ協定を締結し、JA広島ゆたかとの業務提携のほか、大崎上島町や呉市と協定を結んできた。農業従事者の高齢化により、後継者不足や耕作放棄地の対策が必要となる中、レモンの産地を応援する活動を強化するねらいだ。
具体的に活動が進んでいる瀬戸内海に位置する離島の大崎上島で、同社はレモンの生産振興や機能性の研究や食文化の発信を通してレモンの価値創造を行っている。さらに、サテライトオフィスを構え、レモンの栽培を2019年から開始した。そして、日常的にレモンを摂取してもらい、健康状態への効果を確認する研究に、2018年から島の人々と一緒に取り組んでいる。
〈関連記事〉ポッカサッポロが広島・大崎上島でレモン栽培を開始 国産レモンの生産振興へ
11月30日には、ポッカサッポロ社の征矢真一社長が大崎上島町の高田幸典町長を表敬訪問し、同社のレモン事業について近況報告した。
ポッカサッポロフード&ビバレッジ征矢社長、大崎上島町・高田町長
征矢社長は、「日頃より『レモン長期観察介入研究』はじめ当社の取り組みを町民の方々にご協力いただいているご恩にお返しをしたい。60年以上に亘って培ってきたレモン事業を、もう一度新創業する事をここ大崎上島町から全国に向けて宣言します」と挨拶した。
また、同社でレモン事業を担当する土屋淳一グループリーダーは、「レモン商品はコロナ禍においても売上増(レモン食品1-10月の金額ベース前年比120%)、その背景には家庭内調理や家飲み機会が増加、健康意識の高まりが背景にあるとみています。昨年から大崎上島町でレモンの栽培を始めましたが、自らが栽培に携わり、農業従事者が抱える課題を理解し、その解決策を地域と共に進めていく、生産環境を永く守っていくこともまた当社の使命。市場創造だけでなく社会的な貢献もレモンを通じてやっていきます」と話した。
中四国エリアを管轄する同社中四国支社長の大矢修司さんからは「広島エリアの皆様は、レモンに対する意識などが高いと感じており、大崎上島町での取り組みについて取引先企業からの評価や関心も高い。これからもメンバー一丸となってレモンを通じた取り組みを発信していく」と語った。
その後、高田町長から「日頃からポッカサッポロ社がレモンを通じて様々なイベントや町のPRを支援していることにお礼申し上げたい。大崎上島町でもレモンの規模拡大に向けて、荒廃した田をレモン園に変え若い人が携わるなど取り組みが進行しつつある」。
「町民約500名が参加し、レモンの健康実証『レモン健康応援隊』には、私も参加しているが、昨年調査で骨密度が上がった。高齢化が進むこの町でも健康維持に期待が高まる。これからも、健康とレモンのPR及び農業所得の向上にポッカサッポロ社のご支援をいただきたい」と話し、今後の地域共創に向けた活動への期待を述べた。