「食の持つ力」で生活の質を高める“Good food,Good lifeカンパニー”ネスレの「存在意義」とは

「ネスカフェ アンバサダー」でオフィスを活性化
世界最大の食品飲料企業であるネスレには、企業の存在意義を示すパーパスがある。ネスレ日本の深谷龍彦社長は、「ネスレは、世界187カ国で事業展開し、約30万人の従業員が、『食の持つ力で、現在そしてこれからの世代のすべての人々の生活の質を高めていきます』というネスレの存在意義を示すために働いています」とする。この存在意義(パーパス)の実現のために、本業を通じて社会課題の解決を図る共通価値の創造(CSV)を、個人と家族、コミュニティ、地球の3つのエリアで推進している。

ネスレのパーパスでは、「食の持つ力」を強く打ち出していることが印象的だ。英語では「unlock the power of food」と表現されている。「食の持つ力」をグローバル規模で研究開発する強みが背景にある。食の持つ秘められた可能性を追求して開錠(解放)し、それにより誕生した製品やサービス、様々な取り組みを通じて、人々の生活の質を高めていくことに貢献する。

ネスレはパーパス(存在意義)として、「食の持つ力で、現在そしてこれからの世代のすべての人々の生活の質を高めていきます」と打ち出している。

これは、現在のネスレが、食を中心とした“栄養・健康・ウェルネス”に、よりフォーカスした事業活動を進めていることと、“サステナビリティ”の観点がさらに強まっていることが背景にある。地球環境を守りながら事業活動を行うことで、将来の人々の生活の質も高めていくことを目指している。

このパーパスを実現するため、ネスレ日本は、3つの領域(個人と家族、コミュニティ、地球)において本業を通じた社会課題の解決、つまり共通価値の創造(CSV)を推進している。

〈3つの領域での活動「個人と家族のために」「コミュニティのために」「地球のために」〉
「個人と家族のために」は、ネスレが掲げるテーマの“栄養・健康・ウェルネス”を最も実現できるエリアだ。製品やサービスを通じて生活の質を高めることを目指す。

たとえば、「ネスカフェ」のコーヒーマシンをオフィスでも活用してもらうサービスの「ネスカフェ アンバサダー」では、オフィス内のコミュニケーションの活性化に貢献した。心の健康に役立つ取り組みで、応募者は48万人(20年3月時点)にのぼる。

そして、栄養の軸では、自宅で簡単にスーパーフードが摂れる新感覚スムージーの「nesQino(ネスキーノ)」という製品・サービスを2020年12月から開始した。仕事や家事で忙しくても、自分の体のために自然な素材にこだわったスムージーを手軽に飲むことができる。パーパスを実現したひとつの形であり、今後注力していく方針だ。

「nesQino(ネスキーノ)」

「nesQino(ネスキーノ)」

 
「コミュニティのために」では、活力のあるコミュニティを育成することを目指している。そのひとつが、2019年に開始した沖縄で初となる大規模な国産コーヒー豆の栽培を目指す産学官連携の「沖縄コーヒープロジェクト」だ。もともとネスレはコーヒー生豆のサプライチェーンを継続的に改善することを目的としたプログラム「ネスカフェ プラン」に取り組むが、「沖縄コーヒープロジェクト」はその日本版といえる。苗木が順調に生育すれば2022年に約130kgのコーヒー豆(約7千杯)を収穫できる見込みだ。

沖縄コーヒープロジェクト

沖縄コーヒープロジェクト

 
動物好きから好評なのは、「ネコのバス」の取り組み。これは、ネスレ ピュリナ ペットケアが、保護された猫(保護猫)のためにバス車両を全面的に改装した「ネコのバス」を活用して譲渡会を実施し、保護猫の啓発と譲渡促進に貢献する活動となっている。
 

「ネコのバス」を活用し保護猫の譲渡促進

「ネコのバス」を活用し保護猫の譲渡促進

 
「地球のために」では、未来の地球のために、資源と環境を守ることを目指している。現在の注目は、“プラスチックごみゼロ”を目指した取り組みだろう。ネスレは、「包装材料を2025年までに100%リサイクル可能、あるいはリユース可能にする」というコミットメント(約束)を掲げている。日本では、「ネスカフェ」や「キットカット」など主力製品のパッケージの紙化に取り組んでいる。
 
「ネスカフェ エコ&システムパック」は、当初プラスチックだったキャップや漏斗部分を紙に変更し、またアルミ箔使用量をゼロにするなど、環境に配慮した製品として進化している。
 

ネスカフェ エコ&システムパックの改良の歴史

ネスカフェ エコ&システムパックの改良の歴史

 
「キットカット」は、従来プラスチックの外袋だったが、2019年9月から「キットカット」大袋タイプ5品の外袋を紙化し、その後、紙パッケージのラインアップを拡大。従来品比で年間約450トンのプラスチック削減量を見込んでいる。

「キットカット」の大袋タイプの外装を紙化

「キットカット」の大袋タイプの外装を紙化

 
〈すべての人々の生活の質を高める〉
存在意義(パーパス)の実現のため、CSVで「栄養・健康・ウェルネス」と「サステナビリティ」の2つの戦略を進めるネスレ。深谷社長は、「ネスレ日本は、お客さまやペット、そして社会に対して高品質で安全な食品・飲料の提供をするという重要な役割と責任を担っています。 安全で、美味しく、心にも体にも嬉しい、そして使いやすく、環境にも配慮された製品やサービスを確実にお客さまにお届けできるように、日々努めています」とする。
  
「食の持つ力」を引き出し、製品と付加価値の高いサービスを通じて、現在そしてこれからの世代のすべての人々の生活の質を高めていく考えだ。