無糖の紅茶飲料が拡大、コカ・コーラ社もついに参入「紅茶花伝 無糖ストレートティー」発売

コカ・コーラシステム「紅茶花伝 無糖ストレートティー」
紅茶飲料市場で無糖のストレートティーが人気となっている。過去3年の平均伸長率は18%増(インテージSRI、金額ベース)と拡大した。紅茶飲料市場全体も購入者数や購入頻度が増えて同8%増と好調だが、紅茶飲料の伸長をけん引しているのは無糖の紅茶だ。

無糖ストレートティーの好調理由は、香りとすっきりした味わいにより、水やお茶など他カテゴリーのユーザーからも選ばれるようになったことや、飲用シーンが仕事中や勉強、家事の合間など、食事の際に飲まれるイメージの強い日本茶に比べて幅広いことが挙げられる。

そして、在宅時間が増える昨今、リーフやティーバッグの紅茶の売り上げが増加するなど、嗜好品の紅茶を飲む機会が拡大したことも、紅茶本来の味わいを求める無糖ストレートティーのニーズを後押ししている。

さまざまな紅茶飲料ブランドから無糖の提案が相次いでいるが、いよいよ「紅茶花伝」(コカ・コーラシステム)も「紅茶花伝 無糖ストレートティー」(440mlPET/税別140円、270mlボトル缶/税別124円)を3月8日から発売する。

茶葉は、ダージリンとアッサムの産地の違う2種類をブレンドし、製法は、高圧・短時間の「エスプレッソ製法」を採用したことにより雑味が少ないことが特徴だ。同社担当者は、「紅茶本来の豊かな香りと渋みを抑えたすっきりした後味です」と話す。

これまで「紅茶花伝」といえば、「ロイヤルミルクティー」やフルーツティーの「クラフティー」が有名だが、今回、あえて「無糖ストレートティー」を発売するねらいはなにか。

日本コカ・コーラ社マーケティング本部の山腰欣吾グループマネジャーは、「紅茶飲料市場はまだまだ成長機会があるが、その中でも無糖ストレートが市場を牽引すると考えている。無糖ストレートティーは、ミルクティーやフルーツティーなど他の紅茶のサブカテゴリーと(需要を)食い合わない。そして、紅茶以外の飲料カテゴリーから幅広くユーザーが流入している。手淹れの紅茶が好調だったことの後押しなどもあり、非常に伸びるポテンシャルがある」と話した。

また、「紅茶花伝」が素材とおいしいひと手間にこだわった「多彩な味わいが楽しめる本格的で上質な紅茶ブランド」を新しいコンセプトとするにあたり、素材を味わえる無糖ストレートは、欠かせないアイテムだったことが背景にあるという。

〈無糖紅茶先駆けの「ジャワティ」や首位の「午後の紅茶」の動きは〉
もともと無糖紅茶の先駆けは、1989年に発売された「シンビーノ ジャワティストレート」(大塚食品)や、1990年発売の「午後の紅茶 プレーンティー」(キリンビバレッジ)とされる。ただ、当時は1986年発売の「午後の紅茶」のストレートティー、レモンティー、ミルクティーのヒットにより、「紅茶飲料は甘い飲み物」という先入観が出来上がっていたため、無糖紅茶の市場を形成するほどまで拡大しなかった。

だが、キリンビバレッジが2011年に「午後の紅茶 おいしい無糖」を発売し、無糖茶として日常的に楽しめるようにすっきりとした食事に合う味覚に設計したことで無糖紅茶を市場に定着させることに成功した。

キリンビバレッジ「午後の紅茶 おいしい無糖」

キリンビバレッジ「午後の紅茶 おいしい無糖」

 
2020年もコロナ禍の中で「午後の紅茶 おいしい無糖」は前年実績を上回った。キリンビバレッジによれば、“カレーに合う”などの食連動のコミュニケーションが好評だったことや、ECチャネルでの「おいしい無糖」大型容器9本入りの拡売も寄与したという。今年も、食連動のコミュニケーションを継続し、2月から新宿中村屋とコラボし、カレーと「おいしい無糖」の店頭販促やキャンペーンを実施している。
 
他ブランドでも、ポッカサッポロフード&ビバレッジの「かごしま知覧紅茶 無糖500mlPET」が、無糖なのにほのかに甘いことで注目され、販売数量は前年比17%増と好調となった。また、熱狂的なファンの多い「シンビーノ ジャワティストレート」もECチャネルで前年を上回る実績になったという。
 

ポッカサッポロフード&ビバレッジ「かごしま知覧紅茶 無糖500mlPET」、大塚食品「シンビーノ ジャワティストレート」

ポッカサッポロフード&ビバレッジ「かごしま知覧紅茶」、大塚食品「シンビーノ ジャワティストレート」

 
現在の無糖紅茶は、茶葉のおいしさをそのまま楽しむ無糖紅茶らしさに加え、シンプルに伝わるネーミングとパッケージにより、ユーザーを拡大している。現在の飲料市場は無糖炭酸水が人気だが、次に大きく伸長するのは健康性と嗜好性で、ユーザーを年々増やしている無糖紅茶である可能性が高そうだ。