納品期限超過のキットカット・ネスカフェ商品など販売、業界初の無人販売機「食品ロス削減ボックス」/ネスレ日本xみなとく

「食品ロス削減ボックス」と、みなとく社の沖杉社長
ネスレ日本とみなとく社(本社:東京都港区、沖杉大地社長)は、食品ロス削減を目的とした無人販売機「みんなが笑顔になる食品ロス削減ボックス」 の運用を、6月17日から全国5カ所で開始した。食品業界で初の取り組みとなる。

飲食が可能でありながら、通常の流通ルートでの販売が困難になった商品を消費者に販売する新たなチャネルを構築し、食品ロス削減につなげる取り組み。また、農業従事者が生産するコーヒーやカカオ豆などの原材料を無駄にしないねらいもある。

運用後5日間の販売動向について、各設置場所ともに想定を上回る売れ行きとなり、手応えをつかんでいるという。「1度商品を購入いただいた方によるリピート購買率が高くなっており、今後より一層多くの方に販売機を利用していただければと考えています」(ネスレ日本メディアリレーションズ室)。

今回の取り組みは、みなとく社が開発した冷蔵機能付きの無人販売機 「fuubo(フーボ)」を活用し、納品期限を超過したことで出荷される流通先が限定され、場合によっては廃棄される可能性がある「ネスカフェ」や「キットカット」製品などを販売するもの。価格は通常より10円〜270円安い(製品により異なる)。ネスレ日本によれば「自社の通販サイトと同じくらい」の価格設定という。

ネスレが納品期限を超過した商品を出荷し、みなとく社がそれぞれのボックスへ配送し、みなとく公式専用サイトから利用者が商品を前払いで購入し、「食品ロス削減ボックス」から購入商品を取り出す仕組みだ。

ネスレ日本は、国民一人当たりの食品ロス量が1日130g(茶碗約1杯のご飯の量に相当)で、年間約47kg(年間1人当たりの米の消費量〈54kg〉に近い量)になっていることに着目。ネスレ日本もできるだけ食品ロスが出ないように、需要予測を高める活動を行っているが、完全には防ぐことは難しいという。

ネスレ日本飲料事業本部の高岡二郎部長は、6月17日の発表会で「今回、納品期限が切れた製品を出荷できる新しいルートを作ることができた。全てを納品期限内に売り切るのは現実的に難しいので新しい販売ルートをうまく活用したい」とした。

みなとく社の沖杉社長は、「(納品期限切れ商品の)大幅な値引きは消費者だけしか得をしていないし、ブランドの価値が下がりかねない。メーカーや小売店に打撃になることを考えると、それだけが解決方法ではないと強く思っている。(今回の食品ロス削減ボックスは)設置する場所が郵便局や駅、オフィスなどのため、便利に買えることから支持されるのではないか」とした。

設置する5カ所は以下の通り。▽キラリス函館、新宿郵便局、ネスカフェ原宿、JRゲートタワー(JR名古屋駅)、中国電力本社。