伊藤園 とろみのついた「とろり緑茶」発売、高齢者などの誤嚥防止に、東大イートロス医学講座と共同開発
伊藤園は11月28日、普段の食生活において“とろみ”のある飲み物を必要とする人々に向けた緑茶飲料「とろり緑茶」を発売する。キャップ付き紙パック1Lで税抜400円。ECやドラッグストアのほか介護施設などでも展開予定という。
製品特徴は、フタを開けて注ぐだけで飲みたい時に飲むことができ、時間が経ってもダマにならずに均質で薄いとろみを維持できること。また、カフェインは少なめの設計で一般的な煎茶の半分以下に抑えていること。そして、ホットでもコールドでも薄いとろみを保てるという。
同社は東京大学大学院医学系研究科に社会連携講座「イートロス医学講座」を開設しており、同製品はこの社会連携講座と共同開発した。11月21日に本社で発表会を開催したマーケティング本部の安田哲也緑茶ブランドマネージャーは次のように話す。「とろみ付きの緑茶飲料の開発にあたり、試作は200回以上行った。複数の増粘剤をブレンドする技術によって均質で安定したとろみを実現し、茶葉の選定にこだわることで緑茶本来のおいしさを目指した」。
コスト面でも利点があるという。同社の調べでは、とろみ調整剤を使用してとろみ付きの緑茶を作った場合、100mlあたり45円。「とろり緑茶」を使用した場合は100mlあたり40円という。さらに、注ぐだけで完成するので時間短縮にもつながる。
高齢社会が進行する現在、高齢者を中心に嚥下機能低下によりむせ込みが目立つようになり、食べ物や飲み物が誤って気管に入ってしまう誤嚥(ごえん)が起こりやすくなっている。これに対し“とろみ”調整用食品の市場が注目され、180億円規模まで拡大している状況だ。しかし、消費者がとろみ剤を使用して均質にとろみ付けするのは難しい。伊藤園広域流通営業本部の久保田敦之業務用営業推進四課課長は、介護現場の課題について次のように話す。「とろみ付けの際、準備から完成まで約10分かかり、それを1日5~7回行っているという。人により粘度にばらつきがあったり、失敗するとダマができるなど、作業に時間がかかっている」。
伊藤園は課題解決に向けて、手軽に飲める「とろみ緑茶」を開発し、身近な飲み物である「緑茶」の新しい価値を提案する。また、今後は緑茶飲料にとどまらず、とろみ付き飲料の開発を進める考えだ。