コーヒー「ジョージア」14年ぶりブランド刷新、ターゲットを“働く人”から“すべての人”に、「Z世代や女性にも寄り添う時がきた」/コカ・コーラシステム
コカ・コーラシステムのコーヒーブランド「ジョージア」は、3月20日からブランドを14年ぶりに刷新し、新商品や新しいコミュニケーション活動を行う。
これに伴い、新たな商品ラインアップの第1弾として、これまでの「ジョージア ジャパン クラフトマン」シリーズの味わい、香りを進化させた新しいPETボトルコーヒーを発売する。
商品は「ジョージア THE ブラック」「ジョージア THE ラテ」「ジョージア THE 微糖」(各500mlPET)と、「ジョージア THE ゼロ」(440mlPET)。小容量サイズでは、デザート感覚のラテとして、「ジョージア キャラメルアフォガート ラテ」「ジョージア ビターショコラ ラテ」(各195mlPET)を発売する。
今回の「ジョージア」のリニューアルは、ブランドロゴ、製品ラインアップ、コミュニケーションまで、全てを一新するもの。日本コカ・コーラ社の朴英俊コーヒー事業部部長は、3月15日の戦略発表会で次にように話した。「1975年に缶コーヒーで発売されて以来、いわば48年目となるジョージアブランドの再導入だ。従来からジョージアを愛してくれているお客様を大切にしながらも、若年層や女性層など、より幅広いターゲットに新しいブランド価値を積極的に提案していく」。
RTD(Ready To Drink=フタを開けてそのまま飲めるPETボトルや缶入りの飲料)のコーヒーは、ストレスの多いコロナ禍でコーヒーの飲用習慣の定着がさらに進んだ。職場や移動中、リモートワークや家事の合間など、さまざまなシーンで飲む習慣が根付き、市場規模が拡大している。
ただ、RTDコーヒーの購入率や購入金額が最も高い層は50代。日本コカ・コーラ社の調べによると、50代の一人当たり年間購入金額を100とした場合、40代の指数は97、30代は77、20代後半は55、20代前半は36にとどまるという。そのため、市場の将来性を考慮すると、すでにたくさん飲む40代以上は確実に維持しつつ、飲用習慣が形成され始める20代消費者の獲得が重要になる。
朴部長は次のように語る。「20代の消費者も、実際にはカフェなどでコーヒーの飲用習慣はある。いかにRTDコーヒーの世界へ誘うことができるかが、市場成長の鍵をにぎる。“ジョージア”は、これまでのターゲットだった30代以上男性や働く人だけではなく、将来的にユーザーとなる20代や女性層も含めた人たちを新たなターゲットとして生まれ変わる。そのような活動を通して、リーディングブランドとして、RTDコーヒー市場の活性化に貢献したい」。
商品は、よりシンプルでわかりやすい名称にしたほか、「ジョージア」ブランドとして統一感のあるパッケージグラフィックとし、消費者へ訴求する。新しいロゴは内側から広がる輝きを表現。RTDコーヒーとしては珍しい黄色を採用し、前向きで明るいイメージを強化したという。
また、これまでの商品構成は、PETボトルコーヒーの「ジョージア ジャパンクラフトマン」シリーズを筆頭に、「ラテニスタ」「ショット&ブレイク」などのサブブランドを展開してきたが、今後はサブブランドをやめる。「ジョージア」の中心ブランドを主軸とした商品ラインアップへ変革していく考えだ。
キャンペーンも若年層を意識した取り組みを行う。これまでのようなテレビCMを中心にし、一方的にメッセージを発信する形ではなく、消費者自らが体験して、「ジョージア」のブランド価値を一緒に作っていく体験型、共創型に進化させるという。その体験施策の中心は、3月20日0時からWEB上で公開予定の「毎ドラ部 presented by GEOGIA(通称・毎ドラ部)。メイン機能は「AI イラストメーカー」で、自分で撮った写真を人気イラストレーターのタッチに変換できるもの。友人や仲間とソーシャルネットワークを通じてシェアし、さまざまなユーザーが自ら発信を継続するキャンペーンという。
新ブランドキャンペーンメッセージは、「毎日って、けっこうドラマだ。」。新たな「ジョージア」の顔となるセレブリティには米津玄師さんを起用する。21日から順次放映予定のテレビCMでは、楽曲「LADY」が流れる。
日本コカ・コーラのホルヘ・ガルドゥニョ社長は、次のように語る。「1975年の誕生以来、日本市場で長く愛されてきた“ジョージア”は、再びRTDコーヒー市場でゲームチェンジを起こす。今後も成長を続けるブランドであるために現在の枠組みを超え、Z世代や女性にも寄り添う時がきた。今回の刷新により、“ジョージア”がRTDコーヒーの新たな方向性を示す指針となると確信している」。
他社では、サントリー食品インターナショナルが展開する「ボス」も若年層ユーザーに注目し、3月28日から「ボス カフェイン ホワイトカフェ」「ボス カフェイン キャラメルカフェ」(各245g缶)を発売する。1本あたりのカフェイン含有量はボス缶市場最大の200mg。同社によると「缶コーヒーをカフェインの摂取源として使う若い世代に着目した」商品だ。
これまで、缶コーヒーをやPETボトルコーヒーとは縁遠い存在だった若者たち。だが、持続的な成長を目指すねらいから、若者のニーズに着目した商品設計やコミュニケ―ションに取り組む企業が増えている。この取り組みはコーヒーだけでなく、他の飲料や食品にも広がりそうだ。