睡眠対策の食品・飲料が活性化、機能性表示食品は1年間で128品増加、カフェインレスも好調
睡眠対策の食品が年々拡大している。機能性表示食品では、消費者庁の受理数が過去1年間(2022年4月~2023年3月)で128品となり、現在発売している商品は237品と拡大している(受理数の累計は507品)。発売中の237品のうち、サプリメントを除く加工食品は68品で、そのうち多い機能性関与成分は、GABA(35品)とL-テアニン(10品)となっている。
拡大の背景には、コロナをきっかけに、体調管理の意識の高まりがあるという。食品メーカーの担当者は、次のように語る。「睡眠の質を高めたい、リフレッシュして朝から有効に時間を使いたい、という生活者のニーズが高まっている」。
日本人の睡眠は他国に比べて短く、日本人の平均睡眠時間は7時間22分で、OECD加盟国30カ国のうち最下位という。また、厚生労働省が今年1月に公表したデータによると、睡眠時間が7時間未満の人は68.9%、6時間未満の人は35.5%となっている。
睡眠対策として最も有名な商品は、2019年に関東1都6県から発売を開始したヤクルト本社の乳製品乳酸菌飲料「Yakult(ヤクルト)1000」(100ml)だろう。同社初の機能性表示食品で、一時的なストレスがかかる状況での「ストレス緩和」「睡眠の質向上」の機能がある。
ヤクルト本社の決算資料によれば、小売店向けの「Y1000」と合わせ、「ヤクルト1000類」の1日あたり販売本数は255万本(2022年4月~2023年3月)となり、200万本を突破したという。
GABAを配合した機能性表示食品では、片岡物産の「バンホーテンの快眠ココア」(2022年8月発売)が当初計画比の2倍以上の売れ行きになっているという。L-テアニンを配合した機能性表示食品では、森永乳業が「睡眠改善」(125ml、2022年9月発売)に注力している。
一方、以前から睡眠対策のひとつとして知られる、覚醒作用があるカフェインの含有量が少ない「カフェインレスコーヒー」製品を強化する企業も増えている。各社の技術力向上により、カフェインレスでも本格コーヒーのコクと香りが楽しめるようになってきたことから人気が高まった。全日本コーヒー協会によれば、デカフェ(カフェインレス)コーヒーの輸入数量は、2022年に過去最高になったという。
2023年春は、ネスレ日本が「ネスカフェ ゴールドブレンド カフェインレス」シリーズにブラックスティック(14本入)を追加して、ラインアップを強化した。UCC上島珈琲は、「おいしいカフェインレスコーヒー」シリーズを刷新。レギュラーコーヒーの一杯抽出や粉製品のほか、900mlペットボトルコーヒーでもカフェインレスを展開。
キーコーヒーも2021年発売のレギュラーコーヒー「カフェインレス 深いコクのブレンド」が売り上げ好調だ。カフェイン除去後の生豆の鮮度管理に注力することで、コーヒー本来の豊かなコクと甘い香りが味わえる。味の素AGFは、「ブレンディ やすらぎのカフェインレス」をレギュラーコーヒー粉、ドリップパックにとどまらず、インスタントコーヒーやスティックまで幅広く展開している。
睡眠対策の機能性表示食品やカフェインレス商品は、食品・飲料市場で年々拡大しており、これからも数が増えるだろう。食品・飲料の機能性表示食品といえば、これまで血圧や脂肪対策の商品が多かったが、コロナ禍を経て、より健康に対するニーズが広がっている。
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