「サントリー天然水」2Lペットボトル全数に植物由来素材を30%使用、新規石油由来原料を1本あたり9g削減へ

「サントリー天然水」2Lのペットボトル全数に植物由来素材を30%導入
「サントリー天然水」2Lのペットボトル全数に植物由来素材を30%導入

サントリー食品インターナショナルは、2023年9月から「サントリー天然水」ブランドの基幹商品であるナチュラルミネラルウォーター「サントリー天然水」2Lのペットボトルの全てにおいて、植物由来素材を30%使用したペットボトルを導入したと発表した。

これにより、新規化石由来原料を1本あたり約9g削減できるという。「サントリー天然水」の年間販売数量は、国内清涼飲料ブランドにおいて5年連続トップであり、限りある石油由来資源の使用量削減に大きく貢献しそうだ。

もともと同社は2013年から植物由来素材30%使用のペットボトルを「サントリー天然水」550mlペットボトルに導入していた。今年4月から、さらに「サントリー天然水」2Lペットボトルにも順次導入し、9月の製造分から全数導入を完了したとする。

主力サイズでの導入により、ナチュラルミネラルウォーター「サントリー天然水」の主要容器の大半が、植物由来素材30%使用のペットボトルになった。植物由来素材の原料は、フードチェーンに影響を与えない廃糖蜜由来の素材を使用しているという。

「サントリー天然水」ブランドは、ペットボトルの軽量化にも取り組んでおり、2Lペットボトルは、2000年の57.0gから現在は29.8gまで軽量化している。さらに今回、ペットボトル重量のうち30%分を植物由来素材に切り替えることにより、ペットボトル1本あたり約9gの新規化石由来原料を削減したとする。これらの活動により、1本あたりの新規化石由来原料の使用量は、2023年秋以降は2000年と比べて約6割削減しているとする。

サントリー食品インターナショナルによれば、今回の取り組みの背景には、サントリーグループが2030年までにグローバルで使用するすべてのペットボトルに化石由来原料の新規使用をゼロにするという「ペットボトルの100%サステナブル化」を目指していることがある。その柱は「2R+B」戦略で、Reduce(使う量を減らす)、Recycle(再資源化して使う)、Bio(植物由来の資源を使う)をテーマに、さまざまな取り組みを実施し、新規化石由来原料の使用量削減を進めている。

現在、取り組みが加速しているリサイクルでは、使用済みボトルを新しいペットボトルに生まれ変わらせる「ボトルtoボトル」水平リサイクルが浸透しつつあり、全国各地の自治体や企業と連携して取り組んでいる。ただ、繊維や食品トレーなどペットボトル以外の用途にリサイクルされるものや、今後もペットボトル製品の需要が増加していくことなどを考えると、同社の掲げる「ペットボトルの100%サステナブル化」は、リサイクルの推進だけでは達成できない。そこで、今回の植物由来素材の使用なども進めることで、新規化石由来原料の使用量を減らす取り組みを進めている。

なお、植物由来素材の使用量が30%である理由は、ペットボトル素材の構造によるもの。ペットボトルの原料は、2つの素材から構成され、70%を占めるのは、石油を原料とするパラキシレンから生成された「テレフタル酸」、30%は同じく石油由来の「モノエチレングリコール」という。

このうち、「テレフタル酸」は、植物由来素材で生成するためには、現在の技術では複数段階に渡って変換する必要があり、まだ商業化に至っていない。一方、「モノエチレングリコール」は、植物由来素材での生成がすでに実用化されており、今回の取り組みは「モノエチレングリコール」の原料を植物由来の素材に置き換えることで、新規化石由来原料の使用量を減らすもの。同社は2013年から「サントリー天然水」の550mlに導入していた。

ペットボトルは「テレフタル酸」が原料の70%、「モノエチレングリコール」が30%で構成される

今回、「サントリー天然水」2Lペットボトル全数で植物由来素材を30%入れるにあたっては、かなりの量の植物由来素材が必要になると思われるが、同社は2030年の「ペットボトルの100%サステナブル化」に向けて踏み切った格好だ。

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