ミネラルウォーターの生産量が4年連続過去最高、金額は初の4000億円突破、東日本大震災前の2010年からほぼ倍に

2023年(1-12月)のミネラルウォーターの生産数量は、国産品が前年を大きく上回り、4年連続で過去最高となった。一般社団法人日本ミネラルウォーター協会が3月29日に発表した生産・輸入数量の調査結果によると、2023年度のミネラルウォーター類の国内生産量は483万1165キロリットル(前年比108.3%)、輸入量は16万5525キロリットル(前年比66.3%)で、合計499万6690キロリットル(前年比106.1%)となった。市場規模は20年前(2003年)の3.4倍、東日本大震災の前年の2010年から1.98倍となった。

ミネラルウォーター類 国内生産、輸入の推移
ミネラルウォーター類 国内生産、輸入の推移

背景には、生活者がミネラルウォーター類を生活の中の飲料水として受け入れていることが大きいとみられる。国産品は、家庭での需要に支えられて4年連続で生産量が増えた。一方、輸入品は、4年連続で輸入数量が減少した。コロナ以降の国内需要や飲食店の回復の遅れなどが大きく影響していると考えられる。

金額では、国内生産が4212億円(前年比113.4%)、輸入が124億7700万円(前年比79.5%)となり、合計で4336億7700万円(前年比112.0%)となった。

日本ミネラルウォーター協会は、市場が拡大していることについて次のようにコメントしている。「3年間続いたコロナ下において、ミネラルウォーター類は料理や乳児用ミルクにも使用されるなど、日常の生活の中での必需品となってきていることを改めて強く実感した次第です」。

「地下水を起源とするミネラルウォーター類がさらに成長するためには、資源を枯渇させない取り組み、すなわち水源の保護・涵養(ゆっくり養い育てること)が何よりも大切になります。私たちの商品は自然からの恵みであることを深く認識し、地下水保全・環境保全に努めていくことが一層求められると思います」。

2011年の東日本大震災以降、さらにここ数年の地震や豪雨による災害の多発もあり、ミネラルウォーター類の 「生命を守る水」 としての役割が重要視されている。近年は、行政や各家庭、職場、地域で、万が一のための保存水として備蓄も進められている。一方で、食品ロス削減の観点から、備蓄のやり方にはさまざまな工夫が求められるようになってきたという。

なお、日本国民1人あたりの年間消費量[(国内生産量+輸入数量)÷人口]は、2023年は40.2リットル/年となった。前年より2.5リットル増加し、5年前より8.5リットル増加している。ただし、アメリカ(123.4リットル/年、2022年調査)やドイツ(105.6リットル/年、同)、イタリア(201.1リットル/年、同)などの諸外国に比べると、日本はまだ低い水準にとどまる。

同協会は、「今や生活の中に根付く生活必需品となってきており、今後とも持続的な成長が期待されます」としている。

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