コーヒーの国際的な研究機関「WCR」ボードメンバーにキーコーヒー柴田社長が就任、「コーヒーの2050年問題」に取り組む
キーコーヒーは8日、同社の柴田裕社長がコーヒーに関する国際的な研究機関である「ワールド・コーヒー・リサーチ(WCR、ジェニファー・ヴァーン・ロングCEO)のボードメンバーに就任したと発表した。WCRが2012年に設立して以来、アジア及び日本人で初めてボードメンバーになるという。
WCRは、本拠地をアメリカ合衆国に置き、世界20ヵ所以上のコーヒー研究機関、先進的科学研究所とのネットワークを介して運営されている非営利団体。
柴田社長は、同日にWCRのロングCEOを本社に招き、「コーヒーの多様性と未来のために」と題したパネルディスカッションにおいて、今回のボードメンバー就任について次のように語った。
「WCRによれば、世界には貧困にあえぐ小規模農家が約1億人、そのうちコーヒーの生産に従事する農家は約1250万人いるという。そして、その方々は気候変動の影響にさらされているという現実がある。自社だけで解決するのは難しいが、WCRとしっかり情報交換し、気候変動の課題に取り組んでいきたい」。
WCRは、2015年に提唱された「コーヒーの2050年問題」に対し、「コーヒーの多様性を守り、未来を守る」ために研究事業を推進している。「コーヒーの2050年問題」は、気候変動で栽培地の気温がこのまま上がれば、2050年にはアラビカ種の栽培適地が現在の約50%になる可能性があるというもの。」
キーコーヒーはWCRのビジョンに賛同して2016年に協力関係を開始し、17年からWCRが実施したIMLVT(国際多地域実証試験)に参画。現在も同社直営農園(インドネシア)で栽培試験を行う。
ロングCEOは、WCRの活動について、コーヒーの生産は小規模生産者に頼るところが多く、特に最貧国の小規模農家を支えるためにも、農家が自立しサステナブルな形で生産を行い、それにより家族やコミュニティの発展に寄与するというところが大きな目標のひとつだとし、以下のように語った。
「そのためには革新的なテクノロジーが重要で、コーヒー生産を進化させ、生産性と品質を高めることに業界一体となって取り組んでいきたい。また、各国のコーヒーに関する様々な機関とも共同して課題を解決していく」。
そして、柴田社長のWCRボードメンバー就任について、「リーダーシップを発揮していただき、様々な情報発信を日本でも、世界に向けてもしていただきたい」と話した。