ネスレ日本が須磨海岸でビーチクリーン活動、神戸製鋼・須磨UBPと連携、障がいや年齢の垣根を越えて実施、車椅子×地引網体験も
ネスレ日本は6月8日、本社のある神戸市の須磨海岸で地元企業やNPO団体と共同企画したビーチクリーン(海岸清掃)活動を実施した。これは、ネスレ日本と神戸製鋼所(KOBELCO)、NPO法人須磨ユニバーサルビーチプロジェクト(須磨UBP)が、世界海洋Dayである6月8日に「One Action Beach Clean2024~ビーチクリーン×ユニバーサル地引網~」を行ったもの。各社の社員や家族、地域住民や障がいを持つ人たち総勢200名が参加し、約30kgのゴミを拾い集めた。
清掃後には地元漁師の協力を得て「ユニバーサル地引網」のイベントも行われ、障がいの有無に関わらず子どもから大人まで多くの人が参加した。企業が地元で環境活動に取り組むことは重要だが、個社で取り組むにはどうしても限界がある。今回の取り組みは、NPO法人や他社との連携を強化することによって社会にインパクトを与えるとともに、継続可能な活動が期待できる先進的な取り組みといえそうだ。
このビーチクリーン企画は須磨UBPが2018年に始めたが、ネスレ日本が「神戸にある企業で、神戸の海岸をきれいにしよう」という考えで一致して2019年から参加し、神戸製鋼所も2023年に加わったという。今回、ネスレ日本からは約80名が参加し、社長をはじめ役員や社員、そしてその家族が揃いのTシャツで活動した。ネスレ日本の深谷龍彦社長は参加者に向けた挨拶で、「須磨海岸は、昔に比べてとてもきれいになったが、探してみると意外とゴミは落ちている。子どもたちには、小さなことでも自分にできることを積み重ねてくれたら未来につながると伝えたい。また、このような活動はネスレ1社ではできない。これからもみなさんと一緒に取り組みを続けたい」と話した。
食品・飲料企業のネスレ日本が、海岸清掃活動に会社ぐるみで取り組んでいる理由について、同社のコーポレートアフェアーズ統括部の山口恵佑さんは次のように語る。「われわれ食品企業は、これまでプラスチックの恩恵を受けてきた。プラスチックはバリア性能が良く、長期保存が可能なためだ。一方で、使用後はプラスチックの海洋ゴミが問題になっているので、食品企業としては責任持って対応しないといけない」。
「当社はプラスチックごみの課題に対し、“キットカット”や“ネスカフェ”の詰め替え容器を、プラスチックから紙の容器に変更してきた。ただ、それだけではなく、従業員がこの海を見ながら手を動かし、汗をかく海岸清掃活動に参加し、海洋プラスチックごみ問題の実態を感じてもらうことが重要だ。意識や行動を変える機会であり、自分の家族や友人、あるいは取引先に自分の言葉で話せるようになることが大切だと感じている」。
また、神戸製鋼所の担当者は、海洋ごみをテーマに、海の環境を守るには陸からも対策しなくてはならないとした。そして、同社が取り組むアルミボトル缶がリサイクル面で優れていることを紹介した。
イベントを主催する須磨UBPは、障がいに関係なく、海やビーチを楽しむサポートをしているNPO法人。車椅子でも砂浜を移動できるビーチマットや水陸両用車椅子なども活用し、誰もが楽しめるユニバーサルデザインなビーチを普及していく活動を行っている。また、神戸市や兵庫県の企業と連携し、多くの取り組みを行っている。ネスレ日本と神戸製鋼所とは、これまでも体験×学びを通じて地球環境保全などの社会課題について考え、持続可能な社会づくりの気づきを参加者に与えるイベントを開催してきた。
須磨UBPの木戸俊介代表は、「ビーチクリーン活動は、一歩ずつ取り組めば大きな波になると思うのでこれからも続けたい。また、7月には各所で海開きが予定されている。周りの方で車椅子だから海に入るのを諦めているという方がいらっしゃったら、われわれが障がいに関係なく海を楽しむことのできるサポートをしていることを伝えてほしい」と語った。