伊藤園と日清食品が業界またいでラウンド輸送、トラック台数とCO2排出量を削減

ラウンド輸送のイメージ図
ラウンド輸送のイメージ図

伊藤園と日清食品は7月22日、持続的なサプライチェーンの構築に向けた「ラウンド輸送」の毎日運行を共同で開始した。「ラウンド輸送」とは、貨物を輸送したトラックが別の貨物を積んで戻ることによって、配送効率を高める輸送形態のこと。他社との共同輸送は伊藤園初の取り組みとなる。

今回の取り組みでは、往路で伊藤園の生産委託工場(愛知県江南市)から管理倉庫(静岡県牧之原市)へ茶葉を輸送し、復路で日清食品の静岡工場(静岡県焼津市)から在庫拠点(愛知県春日井市)に即席麺を輸送する。空車で運行していた区間を短くできることから、従来と比較してトラックの使用台数を約19%、CO2排出量を約17%削減できる見込みだとしている。各取り組みを検討するにあたり、多くの検討課題はあったが、両社ともに持続可能なサプライチェーン構築の実現に向け積極的に考えているため、スピード感を持って取り組めたという。

両社はこれまでにも物流連携の取り組みを行っており、2023年8月には「空きパレットの共同返却輸送」の取り組みでトラック使用台数を約9%、CO2排出量を約31%削減。2024年4月には「即席麺と茶葉の混載輸送」の取り組みでトラック使用台数を約38%、CO2排出量を約23%削減している。

伊藤園は協業に至った経緯について、両社とも物流を取り巻く厳しい環境に対して、個社の取り組みだけでなく他社と連携して取り組む必要があると考えており、循環型の物流で「送る」だけでなく「戻す」ことも考慮しなければいけないと認識していたことを挙げている。また、工場立地が近く、重軽差や繁忙期の差など物流アセットシェアの相性が良いことも協業検討が進んだ理由だとしている。

(左から)伊藤園遠藤執行役員、日清食品深井常務取締役
(左から)伊藤園遠藤執行役員、日清食品深井常務取締役

伊藤園は、今後想定される長距離トラックドライバー不足対応や環境負荷軽減に向けて、さらに連携を強化していきたいとしている。両社の最終製品である即席麺とドリンク製品を混載するなど、より幅広い領域での物流連携を検討しているという。

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