「ポン!」で始まる幸せ、クリスマスの定番「シャンメリー」77年の歴史と未来
クリスマスの食卓に登場することの多いノンアルコール飲料「シャンメリー」が、誕生77周年を迎えた。戦後日本で誕生したこの飲料は、家族や友人が集う団らんの場を盛り上げ、日本の「クリスマス文化」を支えてきた。さらに、全国シャンメリー協同組合の翠田章男理事長(トンボ飲料社長)は、クリスマスを超えた新たな活用シーンを模索し、新たな挑戦にも意欲を見せている。
〈クリスマスに「ポン!」の音が生む特別感〉
シャンメリーは、開栓時の「ポン!」という軽快な音が最大の特徴だ。食卓やパーティを盛り上げ、クリスマスの特別感を演出することにつながっている。そして、ノンアルコール飲料のため、家族全員が安心して乾杯できることも支持される要因。市場では、乾杯飲料とも呼ばれている。
翠田理事長は次のように語る。「シャンメリーの魅力は、クリスマスに欠かせない”乾杯の楽しさ”を提供すること。日常とは異なる特別な瞬間を演出する飲料として親しまれている。シャンメリーによって食卓がいっそう豊かになることに貢献したい」と語る。
〈77年の歴史と安定した販売実績〉
シャンメリーが誕生したのは、戦後間もない1947年の東京だ。当時はシャンパンを模した「ソフトシャンパン」という名称で販売されていた。それが、1972年にフランス政府から「シャンパン」の名称使用を制限され、「シャンパン」と「メリークリスマス」を掛け合わせた「シャンメリー」という独自の名前に改名した。その後も進化を続け、年間600万本前後の販売を安定的に維持している。
販売本数の推移は、2018年に629万本を記録し、2021年にはコロナ禍による家庭内消費の増加を受けて販売が増加し、643万本を記録した。2023年にやや減少したものの、2024年は引き続き安定した需要が予測されている。
〈クリスマスだけじゃない、受験シーズンから日常まで乾杯文化広げる〉
クリスマスに欠かせない存在として知られているシャンメリーだが、全国シャンメリー協同組合は新たなシーンでの利用を模索している。翠田理事長は「受験シーズンの合格のお祝いなど、シャンメリーを特別な飲み物として活用してもらえたら」と話す。
そこで最近では、2月から3月の受験シーズンに特化した売り場展開や、新たな需要の創出に意欲を見せている。中学受験の合格発表時に、塾でシャンメリーで乾杯したという事例もあるようだ。さらに、「誕生日、入学祝い、還暦祝いなど、乾杯のある瞬間を盛り上げる飲み物として、シャンメリーを広げていきたい」としている。
〈贈呈事業20年、571施設に笑顔を届ける〉
全国シャンメリー協同組合が2005年から行っている「シャンメリー贈呈事業」は、クリスマスの時期に児童養護施設の子どもたちへシャンメリーを贈る活動である。2024年で活動は20年目となり、全国571施設への贈呈が予定されている。
この活動について翠田理事長は、「この贈呈事業は、生産する私たちにとって喜びであり、誇りでもある。従業員の励みにもなっているので、これからも続けていきたい」としている。施設からは、「クリスマスを盛り上げる特別な贈り物」として感謝の声が多数寄せられており、シャンメリーが子どもたちに笑顔を届ける役割を果たしていることがうかがえる。
シャンメリーは、77年の歴史を通じ「乾杯文化」を支える飲料として幅広い世代から愛されてきた。「ポケモン」など人気キャラクターをパッケージに採用するなど付加価値を提案するとともに、クリスマスだけでない新たな活用場面の提案も進んでいる。「ポン!」という開栓音による楽しさと特別感で、これからも多くの人々の乾杯を盛り上げそうだ。