キリンビバレッジが寒川町・茅ヶ崎市とペットボトルリサイクル協定、年間240tを再利用へ

(左から)キリンビバレッジ首都圏統括本部長 村山浩義氏、寒川町長 木村俊雄氏、茅ヶ崎市長 佐藤光氏、豊田通商サステナブル合成樹脂部ポリエステルグループ課長 伊藤智志氏
(左から)キリンビバレッジ首都圏統括本部長 村山浩義氏、寒川町長 木村俊雄氏、茅ヶ崎市長 佐藤光氏、豊田通商サステナブル合成樹脂部ポリエステルグループ課長 伊藤智志氏

キリンビバレッジは、神奈川県の寒川町、茅ヶ崎市、豊田通商と共同で「ペットボトルの水平リサイクルに関する協定」を締結した。寒川町・茅ヶ崎市で回収された使用済みペットボトルを、新たなペットボトルに再生することで、地域での資源循環を促進し、二酸化炭素排出抑制にも貢献する狙いだ。

水平リサイクル(ボトルtoボトル)とは、使用済みペットボトルを粉砕・洗浄し、リサイクルPET樹脂に再生して再びペットボトルとして利用する仕組みのこと。

今回の協定では、寒川町と茅ヶ崎市で回収されたペットボトルを、豊田通商がリサイクルPET樹脂へと再生し、寒川町にあるキリンビバレッジの湘南工場で製造される商品に活用する。年間約240トン(約1000万本)のペットボトルが水平リサイクルされる見込みで、地域の資源循環モデルの確立を目指す。

寒川町と茅ヶ崎市はもともと、生活圏が密接に結びついた地域であり、広域連携でごみ処理などを行ってきた経緯がある。今回の取り組みも、自治体間の連携を生かした資源循環の一環として実施される。キリンビバレッジは、湘南工場を拠点とする企業として、自治体と協力しながら住民向けの分別回収啓発活動にも力を入れていく方針だ。

「ボトルtoボトル」の拡大へ 課題と展望

リサイクルの流れ
リサイクルの流れ

日本国内では、ペットボトルの回収・リサイクルが進んでおり、「ボトルtoボトル」の割合も年々増加し、2023年度時点で約33.7%まで高まっている(PETボトルリサイクル推進協議会調べ)。

ただ、一度ペットボトルを他のPET製品(卵パックなど)に再生されると、再びペットボトルに戻すことは技術的に困難であり、回収されたペットボトルにごみなどの異物が混入していると「ボトルtoボトル」の推進を阻害することになる。そのため、リサイクルに適した良質な使用済みペットボトルを安定的に確保することは喫緊の課題となっている。

寒川町と茅ヶ崎市の家庭から排出されるペットボトルは年間約960トン。そのうち、リサイクルセンターで異物や汚れを手作業で選別すると約900トンになるという。今回の取り組みでは、まず約240トンのペットボトルを水平リサイクルしていく考えだ。

〈各社・自治体のコメント〉

出席者のコメントは以下の通り。


寒川町長・木村俊雄氏
「茅ヶ崎市と寒川町は、生活圏が一体的な地域であり、ごみ処理や消防の広域連携も進めている。今の時代に求められる環境への取り組みも、こうした広域連携の一環として進めていく。市民・町民、企業の皆さんと連携しながら、持続可能な循環型社会の形成に取り組んでいく」

茅ヶ崎市長・佐藤光氏
「猛暑の影響で、テレビが『不要不急の外出を控えるように』と呼びかけた結果、茅ヶ崎の海水浴客は激減した。地球温暖化が地域経済にも影響を及ぼしている現実がある。これを阻止するのは私たちの急務である。今回の協定締結に感謝するとともに、1町1市と2社だけで完結させるのではなく、市民・町民の皆様の理解を得ながら進めていきたい」

キリンビバレッジ常務執行役員首都圏統括本部長・村山浩義氏
「キリングループでは2027年までに国内で使用するリサイクル樹脂比率を50%まで引き上げる目標を掲げている。 しかし、この実現には行政やリサイクラーとの連携、さらには市民・町民の皆様の理解と協力が不可欠だ。寒川町・茅ヶ崎市は当社のマザー工場(湘南工場)がある地域であり、住民の皆様にとってもキリンは身近な存在だと思うので、しっかり取り組んでいく。今回の活動を通じて、循環型社会の実現に向けた理解を広げていきたい」

豊田通商サーキュラ―エコノミー本部サステナブル合成樹脂部ポリエステルグループ課長・伊藤智志氏

「当社はサステナビリティ重要課題の一つとして循環型社会への貢献を掲げている。今回の取り組みでは、茅ヶ崎市と寒川町で回収されたペットボトルを当社のリサイクル工場(滋賀県)で再生し、再びキリンビバレッジ社に供給するという、資源が循環するループを作ることができる。皆様と連携しながら脱炭素社会の実現に貢献していきたい」

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昭和26年(1951年)3月1日
発行:
昭和26年(1951年)3月1日
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