「午後の紅茶」が無糖アイスティーを“新定番”へ、市場を変えるリニューアルの背景/キリンビバレッジ

キリンビバレッジは、「午後の紅茶」ブランドのさらなる成長を目指し、「おいしい無糖」シリーズのリニューアルと新たなマーケティング施策を展開する。
同社が3月18日にリニューアル発売する「おいしい無糖」シリーズは、味覚・デザインの両面で進化させ、すっきりした後味と現代的で品質感のあるパッケージにした。
さらに、アイスティーの新たな価値提案として同日から「MY ICE TEA TUMBLER」キャンペーンを開始し、ブランドの世界観を強化する狙いだ。
キリンビバレッジは、日本の紅茶飲料市場をリードする企業として、「午後の紅茶 おいしい無糖」を2011年から発売し、無糖紅茶飲料市場を拡大してきた。
その中で今回のリニューアルは、無糖紅茶市場のさらなる拡大に向けて “アイスティー文化”の定着を目指した試みとなっている。パッケージデザインもその戦略を反映しており、「午後の紅茶」のロゴをあえて下部に配置し、主役は「おいしい無糖 アイスティー」であることを強調している。

キリンビバレッジ社マーケティング部の町田真優佳さんは、「『午後の紅茶』というブランド名は、どうしても甘い飲み物のイメージがあるため、『おいしい無糖 アイスティー』という名称を前面に押し出しました。“無糖のアイスティー”として伝えることで、現代の生活に合った無糖飲料の新しい素敵な選択肢にしたいと考えました」と話した。
「アイスティー」が、冷たい紅茶にとどまらず、紅茶の多様な楽しみ方ができるものとして広めることで、伸長の続く無糖紅茶市場でさらなる新規ユーザーの獲得を狙う。
〈「午後の紅茶」が“無糖アイスティー”市場をつくる〉
キリンビバレッジは、今回のリニューアルを通じて「無糖アイスティー」を新たな市場カテゴリーとして確立し、飲料市場に変革をもたらそうとしている。
これまで無糖の紅茶飲料は、緑茶や烏龍茶などの無糖茶と同じ扱いをされることが多く、ユーザーも「お茶なのか、紅茶なのか」など、認識が曖昧な人が多かったという。
だが、「午後の紅茶」が狙うのは、単なる無糖紅茶ではなく、ライフスタイルとしての“無糖アイスティー”だ。それによりカフェユーザーなど幅広い層に受け入れられる、現代のライフスタイルに合ったブランドへ進化しようとしている。
また、今回のリニューアルでは、紅茶の香りや味わいにも改良を施している。キリンビバレッジ商品開発研究所の長井美保さんは、「『おいしい無糖』は、ダージリン茶葉を使用し、華やかで爽やかな香りを楽しめるようにしています。さらに、香りのバランスを調整することで、後味の沈みを抑え、よりすっきりとした飲み口に仕上げました」と語る。
〈誕生から39年「午後の紅茶」の強みとは〉
紅茶飲料市場は今春、大手各社が新商品を発売するため注目が集まっている。「クラフトボス 世界のTEA」(サントリー食品)、「紅茶花伝 無糖 アールグレイアイスティー」(コカ・コーラシステム)、「和の紅茶 無糖アイスティー」(アサヒ飲料)など、各社とも無糖タイプを強化している。
競争が激化する中、町田さんは「我々の強みは、ロングセラーブランドとしての信頼性と、品質を維持しながらも時代に合わせた進化を遂げる柔軟性にある」と述べる。今回のリニューアルでも、パッケージや味覚の改良を通じて、消費者が求める紅茶飲料のあり方を模索したという。
また、「紅茶飲料市場を競争の場とするのではなく、一緒に市場を広げていくことを重視している」とし、新たな提案として無糖のアイスティー文化を浸透させていく考えだ。
〈プロモーションでアイスティー文化の創造図る〉
2025年のプロモーションのカギは、アイスティーを定着させ、ライフスタイルの一部として広めることだとしている。
同社は、東京・渋谷で3月20日から23日に開催されるイベントにおいて、カスタマイズしたタンブラーに「おいしい無糖 アイスティー」を入れて提供する施策を行う。10色のタンブラーと全100種類のステッカーを組み合わせ、自分好みにカスタマイズが可能にしたという。

町田さんはタンブラーの施策について、「個性を捉えることが興味関心の入り口になると思います。自分を表現できるようなアイテムで日常に取り入れたくなるようになっていただければ。もっと自由にアイスティーのある生活を楽しんでいただきたい」と話した。
また、3月18日から抽選で5,000名に「MY ICE TEA TUMBLER」が当たるキャンペーンも実施する。
「タンブラーは、外飲みのシーンにもフィットするようにデザインしました。春はお出かけが増える季節。カフェチェーンのカップを持ち歩いて楽しむ人も増えてくる。私たちは、おしゃれなタンブラーにアイスティーを入れて持ち歩くライフスタイルを広めていきたい」と語る。
無糖紅茶市場の競争が激化する中、シェアトップの「午後の紅茶」が“アイスティー”施策でどこまでリードできるか。2025年は、紅茶飲料市場の未来を決める年になりそうだ。