「ワンダ」“はじまりのコーヒー”へ刷新 ブランド再構築に挑む新ロゴ・新商品、全国8カ所でサンプリングも/アサヒ飲料

アサヒ飲料は4月1日、コーヒーブランド「ワンダ」から新たにペットボトルコーヒー「ワンダ クリアブラック」「ワンダ ロイヤルラテ」(各500ml)を発売した。同時に、ロゴを含む「ワンダ」ブランドの刷新を行い、既存の6商品についても新パッケージに切り替えて展開。“はじまりのコーヒー”という新たなブランドコンセプトを掲げ、ペットボトルコーヒー市場への本格参入を図る。
今回の刷新の背景には、ブランドとしての危機感があった。同社マーケティング本部コーヒーグループの荒川浩一グループリーダーは、「これまでコーヒーにおいてペットボトル商品の本格的な展開をしていなかったことも含め、ワンダブランドの存在感が低下していました。ここで変わらなければ、ブランドをもう一度活性化することができないという思いがありました」と語る。
また、「ワンダ」は約30年にわたり愛されてきたブランドであり、今回の刷新はその価値を再び生活者に届けるための決断でもある。

新商品の「ワンダ クリアブラック」は、香り高さと苦味の少ない軽やかさが特長のブラックコーヒー。ブラックコーヒーの“重たさ”や“苦さ”が苦手な層にもアプローチする設計で、「すっきりした後味でゴクゴク飲めるようにする」ことを狙った。一方の「ワンダ ロイヤルラテ」は、ブラジル産高級豆を使用し、まろやかな甘さと香り高さを両立させたラテを目指したという。「甘さが物足りない」「職場で人目を気にせず甘いものを飲みたい」といった声に着目した商品だ。
荒川グループリーダーは、開発における視点として「嗜好性」(味の好みへの対応)や、「止渇性」(水分補給のしやすさ)という2つのキーワードを挙げる。ペットボトルコーヒー市場では、お茶や水と同様に“水分補給”のように飲まれる場面も多く、「ごくごく飲める後味の軽さ」が求められている。一方で、ブラックなら後味のすっきり感、ラテならしっかりとした味わいといった“好みに応える味覚設計”も必要だという。
「最初の一口でコーヒーをしっかり感じ、後味は残さない。飲み続けたくなるバランスを目指して、豆の種類や焙煎度合い、抽出温度まで細かく調整しています」と話す。

ブランドのパーパス(存在意義)に関しては、「ワンダが持つ“明るく前向きなブランド”という軸は変えていません」とした上で、「今回は“気持ちの良いはじまり”というテーマを新たに設定しました。コーヒーが、人の気分や一日を切り替えるきっかけになるような存在でありたいと思っています」と語った。
発売初日の4月1日に都内で行われたPRイベントには、お笑いコンビ「アンガールズ」の田中卓志さんと山根良顕さん、タレントの村重杏奈さんが登壇した。新商品を飲んだ3人は、「朝や仕事の合間などリセットやリフレッシュしたいときに飲みたい」と話した。
また、4月1日から2日にかけて、全国8カ所(札幌、仙台、埼玉、東京、名古屋、大阪、広島、福岡)でサンプリングイベント「ワンダ 100の気持ちのいいはじめ方」を開催。合計6万本のサンプリングを予定しており、会場には“気持ちの良いはじまり”のヒントが書かれたカードを貼り付けたボードを設置。来場者はカードを1枚めくり、コーヒーとともに持ち帰ることができる。
荒川グループリーダーは、「新生活が始まるこの時期に、単にコーヒーを配るのではなく、“はじまりのきっかけ”を体験として提供します」と語った。

さらに、4月1日から放映される新CMには俳優で音楽家の星野源さんを起用。星野さんを起用した理由については、「さまざまな分野で活躍され、始まりのきっかけを多く持つ方。私たちが掲げる“気持ちの良いはじまり”を体現できる存在として起用させていただきました」と説明する。CMでは「朝にはブラック」「昼にはラテ」といった使い分けも描かれるが、あえて時間帯を固定せず、「好きな時に、好きなコーヒーで始められる自由さ」も訴求しているという。
「ワンダはコーヒー好きな方だけでなく、これまでブラックが苦手だった方や若年層の方にも、飲みやすい商品として楽しんでもらえると考えています。はじまりのきっかけとして、日常の中に寄り添えるブランドになりたいです」(荒川グループリーダー)とする。
コーヒー飲料は、生豆相場の高騰や緑茶や紅茶など他のカテゴリーに押されがちな状況だった。今回、30年近く続くメジャーブランドの「ワンダ」がペットボトル商品を本格展開することは、コーヒー飲料市場にとっても“明るく前向き”な効果を生み出すきっかけになるかもしれない。