「トラックを持たない物流会社」が支える運送業の健康経営、大塚倉庫と大塚製薬の支援とは

事例発表を行うシズナイロゴス取締役総務統括部長の渡辺雄生氏
事例発表を行うシズナイロゴス取締役総務統括部長の渡辺雄生氏

大塚グループで医薬品・食品・日用品などを扱う物流企業の大塚倉庫は3月24日、同社東京本部で、パートナー企業を対象とした健康経営の情報交換会を開催した。大塚製薬とともに、運送業界の健康課題に対応する取り組みを行ってきた成果を共有し、3社の優良事例が発表された。

近年、いわゆる「物流の2024年問題」や人手不足といった構造的な課題が物流業界を直撃している。特に、健康状態に起因する事故の増加は、業界全体の喫緊の課題となっている。そうした中で、大塚倉庫は業務のデジタル化を推進することにより、ドライバー不足の課題解決に取り組んでいる。そして、2024年2月からは、大塚製薬の法人向け健康経営支援サービス「健康経営つながるサポート ONLINE」を活用し、1年間にわたりパートナー企業14社に健康経営の支援を行ってきた。同サービスは「健康経営優良法人」の申請に必要な施策の実施と申請提出に向けたサポートを行うもの。

この支援を受けた企業のうち13社が、「健康経営優良法人2025」の認定を取得。今回、その中から選ばれた3社が自社の取り組み事例を紹介した。

北海道札幌市のシズナイロゴスは、ドライバーとの継続的な接点を生むために「ウォーキングコンテスト」などを企画。スマートフォンとアプリを活用し、従業員が日々の歩数や運動を記録する仕組みを導入。社員の半数が参加したという。取締役総務統括部長の渡辺雄生氏は「事務所にいないドライバーとも一体感が生まれた。スマホの活用や勉強会を通じて健康施策が多くの社員に届くようになった」と振り返った。

大輪総合運輸 取締役COOの山下世紀氏
大輪総合運輸 取締役COOの山下世紀氏

徳島県鳴門市の大輪総合運輸は、もともと経営層の健康意識が高かったことから、制度化が比較的スムーズに進んだという。具体的な取り組みのひとつは、1on1などでのコミュニケ―ションを強化し、管理者の健康に対する意識を向上させ、従業員の健康に対する意識向上につなげている。取締役COOの山下世紀氏は、「以前から健康診断結果に対する改善意識があった。今回は健康経営の取り組みとして、従業員に自らの健康課題を意識させるよいきっかけになった」とした。経営層自ら縄跳びを実践するなど、リーダーが率先して取り組んだことも浸透に寄与したという。

早川運輸 専務取締役の河野氏
早川運輸 専務取締役の河野氏

長野県川上村の早川運輸は、女性社員の声をきっかけに社内の健康施策を本格化。専務取締役の河野氏は、「コロナ後の再始動の時期と重なり、会社が動き始めたと社員が感じてくれた。健康セミナーなどを通じて女性の健康についても全体で学ぶ機会があり意識が高まった」と述べた。健康経営の取り組みでは、女性の健康に注力しており、短距離運行や短時間労働へのシフト、健康診断の推進や休みを取りやすい環境づくりを行っているという。

大塚製薬 ニュートラシューティカルズ事業部常務執行役員の佐藤真至氏
大塚製薬 ニュートラシューティカルズ事業部常務執行役員の佐藤真至氏

大塚製薬ニュートラシューティカルズ事業部常務執行役員の佐藤真至氏は、「大塚製薬は、医療領域で培った知見も活かして健康経営の分野で独自のアプローチを展開している。今後、企業における健康経営の推進は、単なる福利厚生の枠を超えている。企業文化の根幹にかかわるものであり、従業員の健康を守ることは企業の競争力や生産性の向上につながり、社会全体の健康につながる。健康支援活動を進めていく」とした。

大塚倉庫 常務取締役サステナブル推進室長の西牟田克之氏
大塚倉庫 常務取締役サステナブル推進室長の西牟田克之氏

大塚倉庫サステナブル推進室長で常務取締役の西牟田克之氏は、「サステナブル推進室が立ち上がった3年前から、パートナー企業の皆様たちとともにサステナブルな物流を目指して取り組んできた。そのひとつが健康経営のサービスとなる。今回は各社の取り組み事例を共有していただけるということなので、良いものは取り込んでいただきたい。物流業界の課題解決に向けたヒントになれば」と開催の狙いを説明。今後も支援の継続と情報交換の場づくりを進める方針を示した。

大塚倉庫は、トラックを1台も保有せず、全国100社以上のパートナー企業と連携して物流網を構築している“トラックを持たない物流会社”だ。その特徴を活かし、医薬品や食品などの高付加価値物流を担いながら、パートナーとともに持続可能な物流の実現に向けて取り組んでいる。

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創刊:
昭和26年(1951年)3月1日
発行:
昭和26年(1951年)3月1日
体裁:
ブランケット版 8~16ページ
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