世界初の缶コーヒー「UCCコーヒーミルク入り」が復刻、大阪・関西万博に合わせ発売

(左から)「UCCミルクコーヒー」10代目(現行品)、「UCCコーヒーミルク入り」復刻版
(左から)「UCCミルクコーヒー」10代目(現行品)、「UCCコーヒーミルク入り」復刻版

世界初の缶コーヒーが、あの時代の味わいで帰ってくる。UCC上島珈琲は、1969年に誕生した「UCCコーヒーミルク入り」(250g)の復刻缶を4月7日に発売する。大阪・関西万博の開幕に合わせて展開される復刻商品は、半世紀の歴史と累計販売150億本以上のロングセラーブランドの“原点回帰”だ。

UCC上島珈琲は、4月3日に兵庫県神戸市のUCCコーヒー博物館でメディア向けの発表会と試飲会を開き、商品の歴史や開発背景、復刻への思いが語られた。

◆「いつでも、どこでも、一人でも多くの人に」 創業者の想いから誕生

1969年に発売された世界初の缶コーヒー(UCCコーヒー博物館所蔵)
1969年に発売された世界初の缶コーヒー(UCCコーヒー博物館所蔵)

世界初の缶コーヒーを開発したのは、UCCグループ創業者の上島忠雄氏。1960年代当時、コーヒーは喫茶店で飲むのが一般的だった中で、「もっと手軽に、もっと多くの人においしいコーヒーを届けたい」という強い想いから缶コーヒーの開発に挑戦し、誕生したという。

発表会で登壇したUCCコーヒー博物館館長 兼 UCCコーヒーアカデミー学長の栄秀文さんは当時を次のように語る、「創業者の上島が、瓶入りのコーヒー牛乳を駅の売店で買ったものの、列車に乗るため飲みきれずに置いて行かざるを得なかった。その経験が缶コーヒー発想の原点だった」。

だが、開発は困難を極めた。コーヒーとミルクが分離したり、加熱殺菌で風味が損なわれたりといった技術的課題に直面。さらに缶内部の鉄イオンとコーヒー成分が反応して変色する問題も発生したが、製缶メーカーと協力し、特殊な内面コーティング技術により解決した。この世界初の缶コーヒーの開発にかかった期間はわずか約1年。当時としては異例のスピードだった。

こうして1969年に世界初の缶コーヒーはついに世に出たものの、初年度の販売は伸びなかった。

◆万博での“目撃”から売り上げが300倍に跳ね上がる

1970年の大阪万博で注目を集めた「UCCコーヒーミルク入り」(写真=UCC上島珈琲提供)
1970年の大阪万博で注目を集めた「UCCコーヒーミルク入り」(写真=UCC上島珈琲提供)

ターニングポイントとなったのが1970年の大阪万博だ。来場者が会場でUCC缶コーヒーを飲む姿が話題を呼び、量販店や売店からの問い合わせが急増。発売2年目には、売上が前年の約300倍に跳ね上がる驚異的な伸びを記録した。工場はフル稼働でも追いつかない状況が続いたという。

なぜ、そこまで売れたのか。当時のUCCは、万博会場に出展はしていなかったが、出展社などへのコーヒーや食品の卸を担っていた。そこで、多くの取引先のレストランや、コーヒー業者として付き合いのある生産国の協力を得て、各国のパビリオンなどで「UCCコーヒーミルク入り」を提供することができたという。UCCの営業担当者たちが現場を回り、商品を売り込んだことにより、さまざまなブースで取り扱われた。栄さんは、「夏の暑い日、パビリオンやレストランが混雑する中、どこでも飲める冷たい缶コーヒーが来場者から重宝された」と振り返る。

◆2019年に10代目へ進化、そして復刻缶発売へ

(左から)「UCCミルクコーヒー」10代目と「UCCコーヒーミルク入り」復刻版
(左から)「UCCミルクコーヒー」10代目と「UCCコーヒーミルク入り」復刻版

現在の「UCCミルクコーヒー」は2019年に10代目にリニューアルしたもの。
初めてコーヒー豆のイラストが省かれ、ブランドを象徴する3色(茶・白・赤)をより印象的に配したデザインになった。同年には「色彩のみからなる商標」として食品業界で初めて登録された。文字の書体も現代的に洗練され、50年を超えるロングセラーの系譜を守りながら進化を続けている。

そして今回、復刻缶が“原点回帰”として登場する。パッケージは1969年当時のトーンを忠実に再現。味わいについても、昔のレシピを参考にして設計したという。

◆懐かしさをブランドとの“再接続”のきっかけに

商品開発を担当したマーケティング部の木佐貫さん
商品開発を担当したマーケティング部の木佐貫さん

復刻缶のターゲットは、決して若年層の新規層だけではない。むしろ、「かつてこの缶コーヒーを飲んでいた人たちに、もう一度手に取ってもらう“きっかけ”になれば」という狙いがあるという。

UCC上島珈琲マーケティング本部の木佐貫和佳さんは、「かつてミルクコーヒーを飲んでいた世代(祖父母、親世代)には、懐かしさから、復刻缶をきっかけにまたこのブランドに戻っていただきたい。それをきっかけに、新しい世代(こども世代)にもミルクコーヒーを手に取っていただく機会が増えてほしい」と話す。

◆世界初の缶コーヒーが“三世代の記憶”に寄り添う存在に

1970年大阪万博の当時の様子(写真=UCC上島珈琲提供)
1970年大阪万博の当時の様子(写真=UCC上島珈琲提供)

「UCCミルクコーヒー」は、これまでに累計150億本以上を販売しているロングセラー。木佐貫さんは、「おじいちゃん・おばあちゃんにとっては懐かしく、お子さまにとっては初めて飲むコーヒーになる可能性がある。“懐かしくも、どこか新しい”をテーマに、世代をつなぐ商品であり続けたい」と話す。

味やパッケージは時代とともに変化しても、守り続けてきた“軸”がある。「世の中で無糖や微糖のコーヒーが増えていく中で、ミルク感のしっかりした味わいという芯はぶらさなかった」(木佐貫さん)。それが、半世紀を超えるブランドを支えてきた信念になっているという。

大阪・関西万博という大舞台をきっかけに、世界初の缶コーヒーはかつての味わいとともにブランドの原点に立ち返る。50年を超えて愛されてきた商品が、再び家族の会話や思い出の中に戻ってくるかもしれない。

この復刻缶は、4月7日から全国のコンビニや量販店、オンラインストアなどで数量限定販売される(125円・税抜)。

媒体情報

食品産業新聞

時代をリードする食品の総合紙

食品産業新聞

食品・食料に関する事件、事故が発生するたびに、消費者の食品及び食品業界に対する安心・安全への関心が高っています。また、日本の人口減少が現実のものとなる一方、食品企業や食料制度のグローバル化は急ピッチで進んでいます。さらに環境問題は食料の生産、流通、加工、消費に密接に関連していくことでしょう。食品産業新聞ではこうした日々変化する食品業界の動きや、業界が直面する問題をタイムリーに取り上げ、詳細に報道するとともに、解説、提言を行っております。

創刊:
昭和26年(1951年)3月1日
発行:
昭和26年(1951年)3月1日
体裁:
ブランケット版 8~16ページ
主な読者:
食品メーカー、食品卸、食品量販店(スーパー、コンビニエンスストアなど)、商社、外食、行政機関など
発送:
東京、大阪の主要部は直配(当日朝配達)、その他地域は第3種郵便による配送
購読料:
3ヵ月=税込15,811円、6ヵ月=税込30,305円、1年=税込57,974円