セブンとの格差一層広がる-CVs2月期決算
◎ファミマ、ブランド転換で出店減
主要CVs(コンビニエンスストア)6社の2017年2月期単体決算は、トップのセブン‐イレブン・ジャパンと2位以下の格差が一層広がった。セブンは既存店の客数を唯一伸ばし、店舗数の純増も850店と他を圧倒して増収増益を達成した。ファミマとローソンはM&A(企業の統合・買収)を加速させてトップを追うが経費が増加して減益となった。また、当面ブランド転換に注力せねばならず、新規出店ペースも落ちるため、今後トップと2位以下の格差はさらに広がりそうだ。
既存店の客単価は全社で伸長したが、客数を伸ばしたのはセブンのみ。同社は女性とシニアの開拓で、10年連続で客数を伸ばし、既存店売上高は9年連続の伸長。女性客の構成比は07年度の42・3%から16年度は47・4%へ、シニアは25・8%から40%に増加した。CVs市場でのセブンのシェアは、15年度の41・7%から16年度は42・7%に増加。井阪隆一セブン&アイ・ホールディングス社長は、「50%を目指す」と話す。
2位のファミマは、16年9月1日付でサークルKサンクス(以下CKs)を吸収合併して店舗数が1・5倍になった。ファミマへのブランド転換は、期中795店の計画を前倒しで829店実施し、転換店の日販は平均10~15%上昇した。「改善効果が大きいことがわかった。(統合シナジーの追求は)あれこれやるよりも転換を前倒しで行う。経費も先に嵩むが、早く手を打って利益につなげる」(高柳浩二ユニー・ファミリーマートホールディングス社長)という。ブランド転換完了は当初の18年度末から18年度上期末に半年前倒しする。
他方、17年度は新規出店を300店にとどめ、CKsを中心にした不採算店500店の閉鎖も計画し、17年度末は500店の純減を見込む。18年度は店舗数維持、19年度から純増に転じる計画だ。高柳社長は、「CVsは顧客の数はそんなに増えていない。過去の成長分を各社で分け合っており飽和に近い。(M&Aなどで)既存市場の中でシェアがシフトしている。CKs統合でシェアが拡大したのは大きな強み。ボリュームを確保したので、次は商品やサービスで質の向上に努める」と話す。
ローソンはポプラ(広島市)と合弁会社を設立し、山陰地方のポプラ53店を16年度中に「ローソン・ポプラ」のダブルブランド店に転換した。今夏から18年度末にかけてはセーブオン(前橋市)約500店をローソンに転換する。また、スリーエフ(横浜市)の90店を16年度に「ローソン・スリーエフ」に転換した。17年度中にスリーエフ全店(281店、閉店予定店舗を除く)をローソン・スリーエフに転換する。ローソンは18年度までの3年間で約1000店のブランド転換を行うことになる。
ファミマ、ローソンがブランド転換で既存市場内でのシェアを奪取しているのに対し、トップのセブンは、あくまでも新規出店でシェアを増やしていく方針だ。4月19日からトイレットペーパーなど日用雑貨の値下げを行い、ドラッグストアなどに流れていた顧客を取り込む。また、都市再生機構(UR)子会社で団地の管理を行う日本総合住生活と提携し、高齢化が進む団地の住人向けに、食事の宅配や電球の交換などのサービスを拡充した新タイプの店舗を21日に東京都東村山市のUR団地内に開店する。今後全国に100店程度出店する。井阪社長は、新たな市場を創造することで、「CVsはまだ成長できる」ことを強調している。