CVS業界 日販、店舗網に大きな格差 セブンがファミマを引き離す
CVs(コンビニエンスストア)業界は大型再編の最終局面を迎え、大手3社への集約が一気に進んだ。3社で売上高の9割を占める寡占化状態となるが、ここへきてトップのセブン‐イレブン・ジャパンが、2位と3位を引き離しにかかっている。店舗数こそ2位のファミリーマートはセブン‐イレブンに肉薄するが、平均日販や店舗網という観点で見ると、1位と2位の間では大きな格差がある。
業績を公表しているCVs6社の17年2月の全店平均日販は、もっとも高いセブンの65万7000円と、最も低いポプラの33万円で約2倍もの格差がある。1人当たりの客単価は500~600円と大きな差は無いため、平均日販の格差は客数の差だ。
セブンは客数と客単価の実数は公表していないが、既存店ベースの客数は10年連続伸長と驚異的な記録を継続している。この間の平均日販は横ばいなので、客単価は下落しているということになるが、女性客の構成比は10年間で42・3%から47・4%へ上昇した。シニアも25・8%から40%へ上昇した。10年連続の客数伸長は、女性とシニアという新しい顧客層を開拓してきたためだ。
セブンがこの間に取り組んできたことは、プライベートブランド「セブンプレミアム」の発売でスーパーとの価格差をなくしたこと、日替わり弁当を始めとした配達サービス「セブンミール」の導入でシニアなどを開拓してきたことだ。今年4月にはトイレットペーパー12ロールの取り扱いなど日用雑貨の品ぞろえ拡大と値下げを行い、ドラッグストアに流れていた顧客の取り込みにも着手した。
加盟店による「オムニセブン」の営業強化も始めた。シニアにそごう・西武のブランド品、子育て家族にアカチャンホンポの商品を受注して配達も行う。これらの施策は業種やチャネルを超えて顧客を取り込むことで、利用機会を増やして客数をさらに伸ばすだけでなく、高単価品を扱うことで、客単価も引き上げ、CVs業界初の日販70万円突破も見えてくる。ライバルがsMの代替機能強化、夜間の需要取り込みなど、現在の商売の延長線上の施策にとどまるのに対し、セブンは1歩も2歩も先を行く施策を打ち出してきた。
ファミマは06年に北海道へ進出し、47都道府県への出店を達成した。ただ、北海道での店舗網は札幌と函館周辺のみで、道北や道東には店舗網がない。道内は1000店を超えるトップのセイコーマート(札幌市)が道内全域に店舗網を持つ。それを追うセブンは最北の稚内市までは達していないが、北は名寄市まで進出している。最東端の根室市には4店舗を持ち、紋別市などオホーツク沿岸まで店舗ネットワークを築いてセイコーマートを追従する。ローソンも北は留萌市、東は釧路市までネットワークを持つ。
ファミマは三大都市圏では店舗数トップだが、地方のネットワークが弱い。三大都市圏も合併による店舗網の重複が多く、相当数を閉店せざるを得ない。昨年9月に吸収合併したサークルKサンクスは約6300店のうち、1000店を閉鎖する計画だ。ファミマは現在1万8000店を超えるが、今期(18年2月期)は300店の出店、800店の閉鎖で500店の純減。来期は500店出店、500店閉鎖。再来期は550出店、200店閉鎖。今期からの3年トータルでは150店の純減で、再び増加に転じるのは2020年度以降だ。
ファミマはいったんセブンに肉薄したものの、今後3年間で再び引き離される。また、1万3000店のローソンに対して5000店のアドバンテージを持った。しかし、ローソンは今後、ポプラ(広島市)、セーブオン(前橋市)、スリーエフ(横浜市)の店舗約1000店を取り込む。さらに毎年1000店近い新規出店も継続する方針で、3年後の1万6000店体制が見え、ファミマのアドバンテージは2000店に縮小する。
店舗ネットワークという観点でも、ローソンは東北の三陸海岸、西日本の山陰や四国など、他社が後から進出できないような人口減少地域にネットワークを持つ。セブンは唯一の未進出県、沖縄へ18年度から出店し、ファミマの牙城を崩しにかかる。