〈消費動向・夏物中間報告〉7月、猛暑で盛り上がり 飲料、アイス順調、ビールはやや苦戦
◎飲料、アイス順調、ビールはやや苦戦
今年の夏物は6月は比較定天候に恵まれ、7月に入ってからの猛暑で盛り上がりを見せている。7月初旬の九州豪雨、8月初旬の台風による大雨と災害もあったが、平均すれば6月が少雨、7月は暑かった(表参照)。8月も台風が去れば暑い夏となりそう。ビールは酒税法の絡みでやや苦戦だが、缶チューハイ、飲料、アイスなどは順調な動きを示している。
〈ビール類〉
7月のビール類出荷は前年比1.8%減と、酒税法改正による販売価格の是正による6月の悪い流れを引きずったが、8月に入ってからも芳しくない。「小売チェーンのチラシ掲載が回復していないことが影響している」(メーカー)。ただし、8月中旬に各社から発売される秋季限定ビールの受注は悪くないことから、回復に期待がかかっている。一方、ビール類から消費が流入しているドライ系缶チューハイは、1割強の伸びが続いており、今夏も好調ぶりが目立ちそうだ。
〈清涼飲料〉
今夏の清涼飲料市場は、全国的に猛暑になったこともあり、茶系飲料や炭酸飲料、ミネラルウォーター、熱中症対策製品(ナトリウム量40~80㎎/100ml)を中心とする機能性飲料などの止渇系アイテムが軒並み好調に推移した。7月単月の販売数量は前年同期比7%増となり市場は拡大している。8月は初旬から大型台風の発生で各地に影響を及ぼしたが、残暑が予想されている。今年1~7月累計実績は同2%増で推移しており、通年の販売数量の伸長も見込めそうだ。
〈アイス〉
4~7月累計の市況は前年比5%増で推移。昨年、一昨年も大きく積み上げてきた中では大健闘している。特に7月が中旬の猛暑効果で7%増となり、夏季限定フレーバーが予想以上に動いて、秋商品への切り替え前の終売が早めに繰り上げになる商品もあった。8月は前年のハードルが高く出足は若干厳しいものの、盆あたりで数字を積み上げ単月で前年並みをクリアできれば、今年の夏商戦も手応えあるものとなりそうだ。アイスはこれまでは、涼をとる冷たいおやつ「夏物商材」だったが、今は季節問わず食べるスイーツ「通年商材」へ定着、猛暑でも売れ筋は氷系にとどまらず、アイスクリームもよく動いている。
〈そうめん・流水麺〉
中元は相変わらず低調だが、家庭用商品は例年より好調に推移している。今シーズンはテレビなどのメディアでそうめんが取り上げられる機会が多く、売り上げに貢献しているようだ。ここ数年の減産計画が奏功し、そうめん・ひやむぎともに在庫量は適正に戻りつつある。
また、食品メーカーとのコラボアレンジメニューを提案したり、食材のとしてのそうめんに注目が集まりつつある。バラエティー豊かなメニュー展開で秋冬まで突っ走れるか。一方、シマダヤの「流水麺」が好調だ。第1四半期(4~6月)も前年同期比2ケタ増で着地、過去最高売り上げを更新した。このうち、素材麺(うどん・そば・そうめん)は12%増と拡大。
直近の7月も、約6%増で推移。後半は30℃を下回る日が何日か続いたものの「数%増の着地を見込んでいる」(同社の木下紀夫社長)。
同社では「『流水麺』のような簡便商品は一度試してもらうとリピート率は高い」としており、比較的天候に左右されにくい商材に育っているとみられる。通期でみても過去最高売り上げに期待がかかる。