J・フロント「上野フロンティアタワー」開業、新名所に

松坂屋をリスペクトして「パルコヤ」の屋号に
〈核店「パルコヤ」 食を強化〉

J・フロントリテイリングは4日、松坂屋上野店(東京都台東区)南館跡地に建て替えた複合施設「上野フロンティアタワー」を開業した。地下1階は松坂屋上野店、地上1~6階がパルコ、7~10階がTOHOシネマズ、12~22階が賃貸オフィス。高層ビルがない上野地域でのランドマークを目指す。

核店を運営するパルコの牧山浩三社長は10月31日の内覧会で、「1960年に(1号店の)池袋店(東京都豊島区)を開業した当時は(アパレルの)ファッションが中心だった。今のファッションは食であり、食の中にファッションを感じるものを集めた。上野には伝統文化がある。ここだからできるものにした」とコンセプトを説明した。

パルコは68のテナントで構成し、うち2割に当たる11店は上野御徒町に縁があるテナントを導入した。「老舗に新しいことにやってもらう」(牧山社長)とし、1892年創業の老舗「上野藪そば」が初めてテナント出店し、ティータイム向けにそば粉のガレットなどの新メニューに挑戦した。今年3月に芝公園(東京都港区)に移転したが、それまで長年、御徒町に隣接する湯島で営業してしていたミシュラン星獲得の日本料理店「くろき」が、和のパフェなどを提供する新業態のカフェ&バーとして出店した。そのほか、創業者が上野で修業した「吉田かばん」が新ブランドで出店。20年前に上野アメ横で創業し、全国規模のブランドになった帽子専門店「CA4LA(カシラ)」が凱旋出店した。

パルコが6年前にJ・フロント入りし、傘下の大丸松坂屋百貨店と共同出店するのは初めてになる。牧山社長は「上野で200年以上の商売をやってきた松坂屋をリスペクトし、(屋号を)『パルコヤ』にした。渋谷店(東京都渋谷区)は若者、サブカルチャーのイメージだが、上野は和と伝統文化がいかされるマーケットで大人の店舗にした。上野レジェンドの話を聞くと、松坂屋の中の(あんみつ専門店の)『みはし』の思い出を語る人が多く、絶対に入れなくてはと思い、3階に出店してもらった」(牧山社長)という。

〈食品産業新聞2017年11月6日付より〉