東武ストアが駅ナカ限定の新業態をオープン、「エキア曳舟」内に「フレッシュ&クイック曳舟店」
東武ストアはこのほど、新業態の1号店「フレッシュ&クイック曳舟店」を東京都墨田区の東武スカイツリーライン曳舟駅構内の商業施設「エキア曳舟」内にオープンした。
「東武鉄道の子会社として、コンビニエンスストア(CVS)もある駅ナカで、CVSとは違う存在価値」(多知幸男取締役常務執行役員商品本部長)を目指した。SM(食品スーパー)の標準売場面積は300~500坪だが、同店は同社最小の78坪。生鮮食品を縮小し、デリカと即食をメーンにした。日販目標は130万円。
取扱品目は全体で4,291アイテム。「SM以下だがCVS以上で必要なものは揃う。価格は(近隣にあるイオンの小型SM)『まいばすけっと』よりも安くする。あくまでもSMではなく、新しいチャレンジ」(多知取締役)という。新業態は何を省き、何に特化するか、様々な仮説で組み立てられている。
エキア曳舟にはCVS「ファミリーマート」がある。周辺にはGMS(総合スーパー)「イトーヨーカドー」、SM「オーケー」「コモディイイダ」、小型SM「まいばすけっと」がある。商圏は幹線道路で分断され、「横断歩道を渡ってまで来店することは想定しにくい。あくまでも駅利用者と、足元商圏の顧客にとって、あるべき品ぞろえを考えた」(同)という。
同店の商圏は半径300mの居住者は65歳以上で27%、単身者で46%を占める。駅の乗降客は朝7時~8時が最も多く、次が8時~9時、次が18時~19時。客層と時間帯の特徴から、「素材をどこまで置くべきか」(多知取締役)という観点で生鮮3品は大幅に縮小し、半調理品中心の品揃えにした。「品揃えは割り切ったが、刺身は(1点盛りだけでなく)2~3点盛りも置く」(同)という。
生鮮3品は店内加工を行わず、同店から約1キロの場所にある業平店(東京都墨田区)を母店にし、業平店で加工したものと仕入れ品のみ。生鮮3品の売り上げ構成比は20%程度(通常のSMは30%以上)を見込む。
一方で惣菜は店内加工を行う。惣菜は6割が店内加工。店内加工はおにぎりと揚げ物に特化。特に朝の需要を狙い、店内で炊飯して握った「俵おにぎり」(税抜き110円)をCVSとは異なる差別化商品に据える。12アイテムを揃え、1日240個の販売を目標にする。通常の手巻きおにぎりと合わせ、おにぎり全体で1日400個の販売目標で、惣菜の10%(通常は5%)の売り上げ構成比を目指す。
弁当は業平店で作ったものをメーンに仕入れ品を組み合わせる。惣菜の売場面積は全体の8%だが、売り上げ構成比は32%(通常のSMは10%程度)を目指す。
業平店を母店に供給する生鮮は1日5便、惣菜は2便。曳舟店にない100円均一のベーカリーが業平店にはあり、「フルアイテムでなくていいので、7便の中でどう運んでくるか。今後はベーカリーの供給も検討していく」(同)考えだ。
加工食品は日配品と酒を強化してCVSとの違いを明確にする。品揃えは模索中で、「焼酎は4リットルを置くのか、2.7リットルまででいいのか、顧客の動向を見て判断していく」(同)という。冷凍食品はSMの基本である弁当商材は縮小し、冷凍果実を増やすなど特徴を出す。アイスはマルチパッケージを強化してCVSとの違いも出す。基本的にチラシ特売は行わず、月間特売などのEDLP(エブリデーロープライス)で対応する。
同社は東武鉄道沿線の駅前立地店は多いが、「駅前と駅ナカは違う」(同)という。東武鉄道が進める駅ナカの再開発で、出店できるフォーマットがなかったため、「フレッシュ&クイック」は駅ナカ限定の業態として確立させていく。
同社はPC(プロセスセンター)を持たないが、社長直轄でPC設立に向けた準備を進めている。PCは駅ナカの「フレッシュ&クイック」だけでなく、駅前の小型業態「フェンテ」への商品供給も視野に入れる。また、駅ナカ以外の小型業態の開発も現在研究中だ。