ミニストップ “レンチンなしでもおいしいお米”北海道産ななつぼし導入、駅弁風「黒毛和牛 牛バラ焼肉弁当」や「チャーシュー弁当」などに
出力が低い家庭用電子レンジでは、「温めるのに3〜4分かかり、ご飯とおかずが、バランスよく温まらず、おいしいものが提供できない。ご飯は本来常温が最もおいしい」(藤本明裕社長)ため、この秋から弁当工場、店内炊飯で使用するコメを、冷めてもおいしく、弁当や寿司に向いている品種「北海道産ななつぼし」に順次変更していく。
ミニストップでは全店舗数の8割強にあたる約1660店で店内炊飯を行い、店内で作った「手づくりおにぎり」を販売している。店内製のできたての米飯と、常温でもおいしく食べられる工場製の米飯の2本柱で、在宅での食事需要に対応していく。電子レンジで温めることがベースになっているコンビニの米飯市場で、独自の存在感を出していく。
コンビニは従来、仕事中や出先での忙しい合間に、短時間で摂れる食事の提供がメインだった。しかしコロナ禍で外出率が減ると、これらの需要が大幅に減少して、2020年はコンビニ各社の業績が急激に悪化した。ミニストップでは今期から、「食事のデスティネーションストア」をコンセプトに掲げ、従来の間に合わせの食事の購入場所という位置づけから脱却し、毎日の食事の購入場所として、当てにされるための商品開発をすすめている。
※デスティネーションストア=「欲しいものが見つかる」という期待を持たれる、“目的来店性”のある店。
柱になるのは弁当と、全店で厨房を持つ強みを生かした店内調理惣菜。弁当は千葉県の有名チェーンをベンチマークした6ミリの厚切りチャーシューを使用した「チャーシュー弁当」、全国各地の駅弁をベンチマークした「駅弁風シリーズ」、総重量600gの「ずっしり極シリーズ」の3本柱。価格はCVSの弁当としては高めの本体価格555円に統一したが、原価や中間コストを見直し、原材料の質を高めながら価格の上昇は最小限に抑え、満足度の高い弁当を目指した。売れ行きは好調で、3本柱でこれまでに累計273万食を販売した。
ミニストップ「チャーシュー弁当」
2021年1月発売の「駅弁風シリーズ」は、9月21日発売の「黒毛和牛 牛バラ焼肉弁当」で第10弾になる。東北新幹線新青森駅で販売する青森県十和田市名物「十和田バラ焼き重」を参考にして開発した。駅弁はもともと常温で食べるもので、「駅弁風シリーズ」も、第1弾から「冷めてもおいしい」という仕様で開発してきた。今後は「四国産鯛めし」「京風だし巻きと牛すき」「瀬戸内産かきめし」など各地の名物を商品化していく計画だ。
店内調理惣菜は「紅生姜唐揚げ」「ピーマン肉詰めフライ」「ポークハムカツ」など、夕食のおかずや家飲みのおつまみにもなるメニューを開発してきた。店内炊飯機能を持つ1660店のうち約600店では、店内で炊いたご飯に店内で調理した惣菜を組み合わせた店内調理弁当も販売している。
これまでは揚げ物を中心にした店内調理の主菜と漬物のみというおかずの構成だったが、10月に大幅リニューアルし、冷凍野菜などを活用した野菜の副菜も盛り込んで内容を充実させる。また、2021年度下期中には、店内調理弁当の販売店を700店まで増やす。