製配販一体で新価値創造へ-弊社牧田邦雄社長新年のご挨拶

2015年明けましておめでとうございます。

昨年12月に行われた衆議院総選挙において、自民党が圧勝、公明党との連立で安倍政権が継続することになりました。安倍総理は経済施策としていわゆるアベノミクスを提唱し、その継続の是非を国民に問うという理由で唐突な総選挙に打って出ての結果でした。

振り返ると、経済的には4月の消費増税が今年の最大の関心事でした。増税前の買置き需要が顕在化したため、1~3月の実質GDPは年率換算で6・1%増と好調でしたが、増税後の4~6月は同7・1%減、さらにアベノミクスで回復が期待された7~9月ですが1・9%減と失速しました。増税による負担感の強まりと実質賃金の伸び悩みが背景にあると思われます。アベノミクスが行われて2年が経過しましたが、企業が繁栄すれば労働者にも富が回るというトリクルダウンは、まだ実現していないようです。

また、増税時に心配された増税分の価格転嫁については、消費税転嫁対策特別措置法の施行により、消費税の転嫁及び表示のカルテルが認可されたこと、小売店での税抜価格の表示が認められたことの効果と、公取委の監視体制の強化によりおおむねスムースに運んだことは、たいへん良いことでした。

さて、食品業界に目を向けると、一部の業種では前述のように消費増税後の消費減退が見られるようですが、最大の課題はコスト上昇であり、すでに値上げが始まっています。干ばつなどの異常気象、途上国の旺盛な需要などそれぞれの事情があるものの、乳製品、畜肉類、魚介類、コーヒー、カカオ豆、デュラム小麦などの国際価格が急上昇しました。これらの原料を使用しているチーズ、ハム・ソーセージなどの加工食品は値上げや容量変更を余儀なくされました。

さらに10月末に日銀の追加金融緩和策が発表されたことを受けて1ドル120円台と円安が急ピッチで進み、国際相場が安定していた小麦、大豆、とうもろこしなどの原料の国内調達価格が急騰しました。このため即席麺、冷凍食品、食用油、ルウカレー、アイスクリームなど新年早々値上げとなります。

また電力料金の値上げや人手不足による人件費や運送費の上昇など国内事情によるコストアップ要因も加わり、先行きが懸念されています。

また、人口減、少子高齢化による食品市場のシュリンクは避けられない状況です。総務庁の人口推計によると11月(速報値)の総人口は1億2711万人で前年同月比22万人減、65歳以上の人口は3265万人で同108万人増、比率は26・0%まで上昇しました。また13年の出生数は103万人で3年連続過去最低と少子化も進んでいます。

増税による消費減退と将来的な人口減、少子高齢化による食料需要の減少、さらにコストアップ要因が重なり食品業界にとっては非常に厳しい状況にあるようです。

こうした中、食品業界は時代のニーズを先取りし、付加価値の高い製品を販売することで、量から質への転換が必要といわれます。しかし、現代はそれだけでなく、需要を創造する新商品が必要ではないでしょうか。CVsコーヒーや大皿用メニュー調味用などの成功事例が次々に誕生しています。そこで、今新年号では「製配販一体で新価値創造へ」を統一テーマとして、新しい需要を掴むにはどうすればいいかなどを考えていきます。

最後になりましたが、食品産業新聞社は食品産業新聞、5つの日刊紙、3つの月刊誌、年鑑類の紙面を通して、正確で役に立つ情報をより早くお届けいたします。本年も食品産業新聞社の各媒体のご愛読をよろしくお願いいたします。