健康食品、新機能性表示制度で11件受理

「栄養機能食品」「特定保健用食品」(特保)に次ぐ、機能性を表示できる第3の制度「機能性表示食品制度」が、4月1日スタートした。直近の4月24日には、3件の受理が公表され、4月17日公表の8件と合わせて、11件が受理されたことになる。新しい機能性表示制度に業界は熱い期待を寄せており、申請件数は既に110件以上に上る。健康食品市場では、青汁、DHA・EPA、グルコサミン、ブルーベリーなど定番素材の堅調さに加え、関節、筋肉量や骨の維持・改善をサポートする“抗ロコモ”の動きも活発だが、新制度はこのような動きを牽引する起爆剤となるのか、注目を集めている。

機能性表示制度を巡っては、テレビや雑誌でもよく取り上げられており、関心の高さが窺える。

24日に届出が受理された機能性表示食品は、△届出番号:A9、届出日:4月16日(受理日)、商品名:メディスリム(12粒)、届出者:東洋新薬、区分:サプリ、機能性関与成分名:葛の花由来イソフラボン△A10、16日、メディスキン、東洋新薬、サプリ、米由来グルコシルセラミド△A11、17日、「アミール」WATER、カルピス、その他加工、「ラクトトリペプチド」(VPP、IPP)。この3件は、受理日の60日後から販売できることになる。

受理された11件の内訳を見ると、脂肪関連が6件と最も多く、血糖値3件、肌3件、眼1件となっている(脂肪と血糖値両方の機能性成分を有する商品が2件ある)。特保では、整腸関連が最も多く、金額ベースで51・4%を占めている(比率は縮小してきたが)。新制度でも整腸関連が牽引するのではとの見方は多いが、今後、その分野にも注目が集まるところである。

消費者庁では、「特保での部位は現時点では、胃腸、歯、骨しか認可されていないが、これは結果的なもので、科学的エビデンスがあれば、現在の特保にない部位や表現も可能である。本来的な特保の考え方が、新制度にも生かされている」と説明しており、新たな部位の登場も興味深い。

また、同庁では、「厳し過ぎる制度だという声もあるが、世界最先端の制度を目指して制度設計しているので、システマティックレビュー(sR)などの提出は不可欠である」と説明している。それでも、特保に比べれば費用と時間も少なく済むため、中小企業にとってハードルが低くなったことは確実である。

一方、矢野経済によると、14年度の健康食品市場(機能性を訴求した食品であり、かつその形状が、錠剤、カプセル、粉末、ミニドリンクタイプ等)は、前年比0・2%増の7208億円を見込んでいる。高齢化の進展、アクティブシニアの増加、中高年齢層における生活習慣病予防やアンチエイジング意識の高まりなどを背景に、新制度も追い風となって、当面拡大基調が続くと予想している。

いずれにせよ、この新制度は、健康食品市場に大きな可能性を広げることは確実であり、消費者により信頼される産業となる契機とすべきだろう。消費者庁では、2年後に見直しを予定している。今後、商品と制度が相俟って進化し、市場が充実・拡大していく。