主要メーカー3月期決算 増税後の反動懸念も増収傾向
主要食品メーカーの2015年3月期(14年度)決算が出揃った。消費増税後の反動が心配されたが、全体的には増収傾向となった。しかし営業利益は増益と減益企業が相半ばし、景気回復感はもう一つ。増収は昨年の83社から68社へ減少。単純な売上げ合計は前期の5・7%増から1・7ポイント減少して4・0%増。13年度は原料価格の高騰の影響と増税前の駆け込み需要などで大きく増加したことから、14年度はその反動が心配されたが、表面上は健闘した。また、営業利益の増益企業は前年度に比べ4社減少の50社となった。対売上高営業利益率は3・87%と0・1ポイント上昇した。
本紙は上場企業のうち15年3月期決算(一部1月及び2月期)の企業の決算を集計した(連結86社、非連結14社、合計100社)。14年度決算をみると、増収企業は13年度の83社を15社下回ったが68社を数えた。営業利益は増益50社に対し減益43社、赤字6社と売上げほど順調なわけではない。16年3月期売上予想は全体で5・8%増。
連結ベース(非連結含む)で見た合計売上高は15兆9742億円。前年比較ができる企業だけでは4・0%増。単純に合計したため、海外部門や食品以外の分野が含まれるし、一部連結子会社の2重カウントがある。
4・0%増は昨年の5・7%増を下回るが、原燃料価格高騰で値上げを余儀なくされた08年3月期の4・1%増に匹敵する水準だ。しかしその要因を考えると、単純に景気回復にはつながらない。
まず円安や国際価格の上昇により原料価格が高騰した影響で畜産、水産などの増収が目立つ。さらに大手各社の海外での事業が好調なことも売上げ増の要因となる。さらに円安で昨年度ほど円貨換算の売上高が膨らんだ。例えば海外比率が高い味の素は今期為替差138億円、キッコーマン155億円、ヤクルト本社64億円など。全社合計の増収分5743億円の6%がたった3社の為替差であり、昨年の海外売上実績から類推すると全社で1000億円程度の為替差が生じたものとみられる。
こうした要因から、生活者の消費活動が高揚しての増収とは考えにくい。実際、昨年4月の消費増税で4月以降の反動が見られた。実質的な増収となっていても、海外事業分と為替差、単価アップを除けば、消費の増加や高付加価値化による増収は多くないだろう。また14年の勤労者の実質賃金が減少、貯蓄率も大きく減少するなど一般家庭の経済的な不安定感を示すデータは多い。
また総務省の家計調査によると、14年度の食料支出(2人以上の世帯)は91万4960円で1・3%増加したが、消費増税分も含まれており、実質は2%近い減少となる。それでも、4月以降の反動減というマイナス要因に中で、4%増収は食品大手の健闘と評価できる。
一方、利益面ややや苦戦。表に営業利益の推移を示したが増益企業は50社(前年54社)、減益企業は43社(同36社)、赤字6社(同9社)。赤字と減益を合わせれば、増益企業とほぼ同数で、売上げほど好調でなかったことがわかる。