「中性脂肪・体脂肪」が3割 1年で284件、企業数100社 機能性表示食品
▽新機能が続々登場、市場の充実・拡大へ
「栄養機能食品」「特定保健用食品」(特保)に次ぐ、機能性を表示できる第3の制度「機能性表示食品制度」が昨年4月1日にスタートし、1年が経過した。この間、284件の機能性表示食品の届出が受理された(4月8日現在:うち2件は撤回なので282件)。受理件数は着実に増加しており、企業数も100社に達した。健康食品業界は当然のことながら、食品業界にとっても、少子高齢化や人口減の中で、差別化や付加価値の新しい切り口として、販路の拡大や利益率の確保など大きなメリットがあり、さらに重要な市場となりつつある。
機能性表示食品制度を巡っては、続々と申請が行われており、事務処理も多忙を極めていると見られる(4月からオンライン手続による届出に変更された)。施行当初は派手なスタートとは言えなかったが、今やテレビ番組や雑誌、CMへの登場も着実に増えてきた感がある。一部撤回などもあったが、初めての制度としては、まず順調に機能していると言えるだろう。この間、機能性表示食品を軌道に乗せるべく、様々な勉強会やセミナーなどが開催され、日健栄協(日本健康・栄養食品協会)を始めとする団体や、機能性素材メーカーなどが届出申請を支援する動きも活発化し、それらも奏功した。
健康食品の市場規模は、機能性表示食品制度施行前の14年度には7208億円、13年度には7196億円と推計されていたが(矢野経済)、これに機能性表示食品が加われば、さらに市場は拡大することになる。
4月8日までに受理が公表された284件(撤回2件除き282件)を機能別に見ると(複数の機能を有するものが22件あるので延べ304件:表1)、「中性脂肪・体脂肪」(101件:1位)が圧倒的に多く(全体の3分の1)、これを食関連と捉えて、「胃腸」(36件:2位)「血糖値」(18件:7位)、「コレステロール」(14件:8位)を加えると全体の56%となる。昨年12月9日時点での54%とほぼ同じであり、食関連が最大の用途であることは変わらない。一方、昨年12月に2位だった「眼」は、3位に下げた。この4ヵ月で5件追加があった(30件)。
また、「睡眠(の質の向上)」は10件増えて13件(9位)、「ストレス(低減)」も、10件増えて13件となった(同9位)。この2機能の増加も、特徴的な傾向と言える。その他、「骨・関節」は23件(4位)、「血圧」20件(5位)、「肌」20件(同5位)、「記憶力(の維持)」8件(11位)、「疲労(回復)」6件(12位)、「血流」1件(13位)となった。
なお、新しい機能としては、「肝機能(の維持)」が初めて登場した(昨年12月28日受理)。商品名は、「肝臓の健康にセラクルミン」。機能性関与成分名は「クルクミン」。「本品にはクルクミンが含まれるので、健康な人の肝臓の機能の一部である肝機能酵素(GOT、GPT、γ‐GTP)に対して健常域で高めの数値の低下に役立ち、健康な肝臓の機能を維持する」-と記載されている。
新しい機能性素材が追加される度に、今まで表示されることのなかった新しい機能が次々に登場しており、この制度ならではの機能が発揮されている。
今後は、業界による市場拡大・充実の方策としては、消費者庁による1年後の見直しに向け、食事摂取基準が定められている栄養成分は対象外であること、関与成分が不明確なものは対象外であること、などの課題に取り組むこと。消費者に対しては、業界7団体で構成される「健康食品産業協議会」の社団法人化や、適正な表示、安全性の確保などにより、さらに信頼される健康食品業界を志向していくことが重要となる。