ポストサミットへ向け魅力発信-伊勢志摩 豊かな自然と食文化を海外へ
伊勢志摩サミット(主要7ヵ国首脳会議)が26、27日に開催される。開催が決定してから、三重を訪れる外国人観光客が増加するなど、既にサミット効果が出ている。サミットが開催される伊勢志摩地域は、美しいリアス式海岸が広がり、島々や山々などの豊かな自然環境が伊勢志摩国立公園として指定されている。海と山に囲まれた食の宝庫であり、古代では「御食国(みけつくに)」として知られていた。ポストサミットに向けて、三重県や県内の企業では、懐の深い自然に育まれた豊かな食や観光資源の魅力を発信している。
この10数年、三重の魅力を国内外へ知らしめる出来事が相次いだ。日本の総氏神である伊勢神宮と熊野三山を結ぶ熊野古道伊勢路が、04年に「紀伊半島の霊場と参詣道」として世界遺産に登録された。13年の伊勢神宮式年遷宮も記憶に新しく、参拝者が増加した。今回の伊勢志摩サミットの後には、第27回全国菓子大博覧会「お伊勢さん菓子博2017」(17年4~5月開催)が控えている。
伊勢志摩サミットついては、百五経済研究所では、全国で510億円超、うち三重県内では130億円の経済効果があると試算している。その他、観光消費額が5年間で累積1750億円と試算するシンクタンクもある。
実際に、サミット開催決定から三重を訪れる外国人観光客が増えている。知名度が高まったためだ。国土交通省中部運輸局によると、三重県の15年の外国人延べ宿泊者数は前年比114・7%増の約17万8500人と急増した。この勢いは今年も続き、直近の2月で116・7%増と、全国で一番高い伸び率となった。
三重には、伊勢えび、あわび、牡蠣、まぐろ、あおさのりなどの海産物や、松阪牛、南紀みかんといった柑橘類、米など食材が豊富にある。お伊勢参りの名物「赤福餅」に、独特の魅力を持つ「伊勢うどん」もあれば、清酒、醤油、味噌などの醸造業も盛んだ。
見どころはほかにも、海外においても知名度の高い伊賀流忍者の発祥の地伊賀(伊賀市、名張市)、国際レーシングコースを有する鈴鹿サーキットもある。食と深く関わる海女文化や、真珠、萬古焼といった伝統工芸品も見逃せない。
三重県では、サミットの開催を契機に県産の食材、加工食品を国内外へ発信したい考えで、様々なPR活動を展開してきた。また、県内の企業では、地域資源を活用した商品開発にも力を入れてきた。
サミットを安全に開催、成功させ、三重県の魅力が国内外に知れ渡ることを期待したい。