食品包装 易開封への改善目立つ
食品である以上、本来評価されるべきはおいしいか否かで中身が圧倒的に重要だ。しかし、だからといって外見の部分をおろそかにすればいいかというと、決してそうではない。中でも、パッケージの開封しやすさというのは味に直接関係しないが、商品を購入して口に入れるまでの一連の流れにおいて、その果たす役割は無視できない。力が必要なため手首を痛める、切り口が斜めになり中身が溢れる、あるいはカップの縁で指先を切って怪我をすると、商品イメージは大きく棄損し、支持も失いかねない。包装パッケージや容器のメーカーを取材すると、より開封しやすい、さらに安全性を高めるといった易開封に関しての改善に取り組む動きが目立つ。
軟包装パッケージメーカーのメイワパックスは、「イノベーティックなものを開発するという考えもあるが捨てている。どちらかというと消費者目線からの改善に取り組んでおり、開発も営業に同行する」と明かす。ゼロから新製品を出すよりも、背中のかゆいところに手が届くようになったものの方が、ある程度ヒット率が高くなるという。
同社のイージーカットフィルム「たてよこまっすぐカットECF」は直線的にかつ手切れ感の軽いフィルムで、縦からでも横からでも直線的に切ることができるのが特徴だ。また、グループの明和産商は、規格袋のカタログをリニューアルするにあたって、メイワパックスが開発した「段差レーザー加工 L‐BOCO」の規格袋をラインアップに加えた。易開封レーザー加工で袋の片面を波形にすることで、中央の切れ目が段違いになり、指でつまみやすい形状となる。指先が渇いてしまう高齢者でも開けやすいことを訴求する。
クリロン化成の「クリアピール」は抵抗感のない滑らかなピール感、糸引きがない剥離面のキレイさ、剥離時にフィルムが切れにくいことをアピールしている。ポリエチレン(PE)用ではハム・ソーセージや惣菜などに用いられており、ポリプロピレン(PP)用は、豆腐業界での採用が進んでいる。低価格で販売されやすい豆腐の蓋は、開封時にフィルムの持ち手が千切れたり、不完全に破れたりする場合があったという。このほど、PET容器用とハム・ソー業界から要望のあったPEのハイバリアタイプも新たに開発したことでラインアップを一通り揃えた。
大阪包装社は、「ワイドオープンサンド袋」の販売に注力している。通常のサンドイッチの袋は背面にラベルが貼付されているため、開封する際にテープが引っ掛かり、キレイに切り裂くのが難しかった。そこで同社は、サンドイッチの下部の開封部分をつまんで上部にめくり上げることで、背面のフィルムを全面開封できる袋を開発した。
山田工作所が3年前に特許を取得した安全かつ薄肉化した上で強度を高めたエコ容器「Y・Y・リッド」は、カップの縁で指を切ったというクレームがたびたび寄せられていたことから生まれた製品だ。カップ容器の縁の部分を外側に折り曲げることで鋭利さをなくすとともに強度を高めることに成功している。